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LOVE DREAM HAPPINESS を追いかけて

【雑記】K-POPアイドルたちは“かわいそう”なのか?~夢とキャリアと現実と~

2021年最初の記事は、少し書くのを迷いつつ…最近よく考えているテーマにしました。
私はK-POPというものを知ってようやく1年が経とうとしているド新規で、まだまだこのテーマについて書くには早すぎるかもしれません。
でもふと「今年の春で社会人10年目だなぁ」と気づいて。なんとなく若者に向けて社会に出て10年経つとこういう景色も見えてたりします、とか逆にこの歳になってくると若いころの気持ちを忘れかけててK-POPアイドル世代への理解も追いつかなくなってるな、とかいろいろ吐き出してみようと思います。
ということで90%くらい自分語りでできている本当の雑記なので、暇で暇で仕方がないという稀有な方だけごらんいただければ幸いです。

※以降で自分の意見を書いていますが、他の方の意見や考え方などを否定する気はまったくありません。正解のないテーマを扱っているためただのオタクの戯れ言であることを念頭に置いてください。

 

 

前置き:夢を叶えることはなぜ難しいのか

簡単に以降の私の意見の前提となることを書いておきたいと思います。
皆さんは学生のころに思い描いた“将来の夢”を叶えられましたか?夢なんてなかったなぁって人もいるかもしれませんし、もしかしたら今まさに叶えようとしている学生さんもいるかもしれませんね。
私はどちらかといえば叶えられなかった側の人間です。いろいろ要因はあるとは思いますが、個人的には、“叶えられるまで努力をし続けられなかった”に尽きるなと思っていて。努力は必ずしも報われるわけじゃないというのは報われるまで続けられなかった結果というか…。これは他人に向けて言ってるわけじゃなくて、私自身に向けての言葉です。

そもそも努力し続けられるって一種の才能とも言えるくらい難易度が高いことですよね。何かを極めるまでやり続けるって容易ではありません。プロスポーツ選手の生い立ちとかプロになるまでの経緯とか聞くと「わぁやっぱり選ばれた人間なんだな!(家庭環境も含め)」と思っちゃったりもしますが、よくよく考えるとその環境や才能を生かすための行動をし続けられた場合が多い気がします。効率のよい努力の仕方を知ることができるかというのはまた別の話になりそうですが。

ちょっと振り返ってみたらEXILE兼三代目JSBパフォーマーの岩田剛典くんについて書いた記事で似たようなことを書いてました。

誰もがスターにはなれない。それは誰もがスターになれるほどの努力をし続けることができないからだと思う。諦める、挫折する、妥協する…自分含め凡人はそういったものに甘んじてしまうから。

kuraxkura.hatenablog.com

あんまりここまでの自分の人生に後悔はないんですけど、まあでももっとやれたよなぁと思うことは多いです。そのときは必死だったのかも知れないけど、私は人生をかけてまで何かを努力し続けたことはないので。

 

K-POPアイドルは搾取され命を消費するかわいそうな存在か

少し前に珍しく(当社比)感情的なツイートをしました。掘り起こしてくるか悩みましたが、考えは基本的には変わってないので一応載せておきます。

私が目にする範囲では、多くのK-POPファンが、アイドルの過酷な労働環境や置かれている状況(たとえば、7年契約の話とか、若いうちに搾り取れるだけ搾り取って使い捨てのように扱われるとか)を心配して、どうにかそういった状況が改善されないかと願っているようです。それは私ももちろん同意します。
でも「とんでもない過密なスケジュールを課せられ、プライベートもなく撮影され、中には海外からひとりで韓国に来て健気に頑張っていて容易に帰国もできない…だからアイドルたちはかわいそうだ」という意見も見かけるんですよね。もちろんそれもひとつの見方だと思います。
ただ、彼らがアイドルになろうと思って、厳しい練習生期間を乗り越えて、デビューを掴み取って…っていうのは誰かから強制されたものなのだろうかと。「思ってたのと違う」「想像以上に大変」なんてのは普通の仕事でもあると思うんですが、彼らはもっと強い意志で「アイドルになりたい」という夢を描いてアイドルになったんだと思うんです。それこそさっき触れた、人生をかけて努力し続けられた人が行き着いた先の一例と言ってもいいかもしれません。
デビューして人気が上がって、確かに多忙を極めて、心身を削って活動をしている様子が見てとれる…でもそれを不幸だって言ったら、プロとして仕事をしている彼らを否定しているんじゃないかと思ってしまって。海外から夢のために単身韓国に渡った子たちも多いですけど、渡韓なんてせず生まれた国で一生を過ごすことが一番幸せだって、なんで他人が言えるのかすごく疑問なんですよね。
じゃあデビューに至らず退所して普通の人生を送っている人のほうが幸せですか?デビューしたけど売れずに解散させられた(そして親元などに戻った)子たちのほうが幸せですか?外野には分かりようがありません。

そう、何が幸せかって他人には分からないんですよ。家族は一緒にいたほうがいいとか、恋人はいたほうがいいとか、それらが一概に言えないのと一緒で、仕事も何が本人にとって一番幸せかって他人には決められないじゃないですか。正解もなければ、分かりようもない。
むしろ私にとって夢を叶えたアイドルたちってとてつもなくすごくて、尊くて、羨ましくて、あんな密度の高い10代・20代を過ごせるなんて本当に本当に頑張ったんだなぁって称賛したい存在です。外野から「かわいそう」なんて言えません。
心身を壊したら元も子もないですが、全力で勝負できる仕事が目の前にあって、本気でやりたいと思えるのがどれだけレアか。いったいこの世で働いている人の何%がそんな仕事を掴み取れますかね。平凡な会社員の私は一生見ることのない景色です。

そしてちょうどこんなタイトルの記事が出ていました。“仕事が少なくても悩む”ということが分かりますよね。芸能人特有の悩みでもあるでしょう。もちろんこれも人それぞれの感覚ですが。

news.kstyle.com

VICTONは今ちょうど活動中で、タイトル曲『What I Said』に惹かれてフルアルバムもDLしてよく聞いています。メンバーには詳しくないのですが、ハン・スンウさんは26歳ということで、普通の社会人だったらまだまだ若手ですがアイドルの世界ではそうではない年齢に差し掛かっていると言えます。
ブログでも何度か話題に出している、PENTAGONのフイさんの言葉「なかなか結果を出せなくて(当時音楽番組でまだ1度も1位を取ったことがなかった)来年はもうCDを出せないかも知れない」も焦燥感を感じられるものでした。
でもきっと彼らはアイドルという職業にこういう厳しい面があることも知っているはずです。土日祝休みが欲しくて、規則正しい社会人生活を送りたいなら、アイドルという道は選んでいない。夢があったから少なくとも目指した時点では、覚悟を決めて自らその茨の道を選んだんです。会社員がこれらの感覚を本当の意味で理解できることはないのでしょうね。

ここで例外を挙げておきたいのですが、先日のTOOの件(7年契約でデビューしたのが、お偉方の都合?で1年で契約解除になり現在カムバが見送られている状態)みたいなのは別です。大人の勝手な都合で若い子たちの芽を摘むようなのは許せません。
また、事務所側(雇用側)が「夢を叶えてやったくせに文句を言うのか」と理不尽を正当化しやり甲斐を搾取するのは、本人たちが自ら「クオリティ上げたいから深夜まで練習する」「もっといい歌声を聞かせたいから自主レッスンする」というのとはまったく別物です。
過酷な労働環境、アイドル自身が力の及ばない領域での理不尽、そして芸能人だからと軽視されるプライバシー侵害を是正するよう訴えることと、K-POPアイドルになった大変さとは同列では語れないと思っています。

 

短命な職業を選んだ若者の将来のキャリア設計

いつもLDHを引き合いに出して申し訳ないのですが、LDHってパフォーマーで30代やりきって、勇退(引退)して40代以降のキャリアを築いてる先輩たちがそこそこいるんですよね。まだ30代だけど俳優やアパレル、飲食と並行してる人達もいる。だから若い子たちはその背中を見て「あ、パフォーマーって一生は食べてけないからパラレルキャリアを見つけなきゃ」って思うんですよ。
以下の記事で書いてますが、20代のうちから第一線を退いたあとの人生について語っているメンバーもいます。将来のビジョンを見据えて社会人生活を送ってる人ってどのくらいいるでしょうか…?(自身のことを棚に上げながら)

kuraxkura.hatenablog.com

でも多分K-POPアイドルって30代以降のビジョンを持つことがすごく難しいんじゃないかな。あんまり地続きになってないというか。もちろん30代以降もアイドルで活躍してる先輩方っていますけど、男性は兵役で一旦途切れるからキャリアが断絶してるように見えてる気がして。ファン目線でもそうなんですけど。そこは日本と違ってかなり厳しい部分ですよね。
だから…と言っていいか分かりませんが、若いうちに命を燃やすように全力投球しようとするアイドルも多い気がします。永遠に同じペースで同じだけ仕事をこなせるわけではないことは理解しているから、この一瞬一瞬にかけるというか。それはもちろん“美しい”かもしれない。でも人生は長い。アイドルとしてか、そうではない者としてか、分からないけれどまだ何十年も生きていかなければならない。
俳優とアイドルを並行してやってそのまま30代以降は俳優1本でというケースもあるとは思います。ただ、LDHみたいに身近なロールモデルとしての存在にはまだなってないんじゃないかな~というのが勝手な見解です。ただ、私は若手グループしか見てないのでもっとベテラングループ(兵役に行っている・帰ってきたメンバーがいるグループ)を追ってるとまた違った意見になるかもしれません。

歳を重ねると求められる役割が変わって、それに合わせて自分が提供できる価値を変化させていかないといけないというのは会社員は感じることですが、きっとアイドルたちもデビュー時期、駆け出し時期、人気最盛期、停滞期…と何らかの違いはあるんだと思います。
特に最近はデビュー前からサバイバル番組やオーディション番組である程度ファンダムを形成したスキルも人気もある新人グループが次々とデビューしてくるので、カムバのたびに新しい要素を取り入れて新鮮味を出さないと、中堅グループでも音楽番組で1位を取ることが難しくなっているように感じます。
アイドルもボランティアではないので(きちんと見合ったお給料をもらっている前提で話していますが)求められている価値提供をしないといけない場面は多々あると思います。好きなことを好きなときに好きなだけというのは理想ですが、雇い・雇われの関係で仕事をしている以上、それだけでは成り立たないと社会人なら理解できると思います。

余談:過酷な環境で働いた人から提供されるサービスは世にあふれている

もうひとつ引っかかりが大きいなと思っていたものが、「過酷な環境下で作り上げられたアイドルたちのパフォーマンスを受け取るのがつらい」(いろいろ見てきた意見を雑にまとめただけなのでこのまま言ってる人はいません)といった趣旨の内容でした。
バイトでも社員でもなんでもいいんですけど、働いたことある人は分かると思いますが、アイドルに限らず最悪な労働環境で提供されてるサービスって世の中に本当にあふれています。私はIT業界しか知らないのでほんの一部の情報ですけど、エンジニアやってるときに携わったお客さまの業界も含めて、安心安全な快適生活ってたくさんの犠牲の上に成り立ってるんだな……とどんよりした記憶があります。
それも社会人生活が長くなってくると「そういう環境を選んで働いてる人が悪い。転職すればいいのに」とか荒んだトゲもにょきにょき生えてきてさらに最悪なんですが。

あんまりイメージがわかない人にいい例えかどうか分かりませんが、少しだけ具体例をお伝えしてみると…

蛇口を捻って水やお湯が出てくるのもスイッチを押せば電気がつくのも時間通りに電車やバスがやってくるのも119や110を押すと救急・消防が応答してくれるのも…全部そういうのを制御するシステムを作ってる人がいて、24時間保守・運用してる人がいて、そして現場で対応する人がいて、もちろん物理的に工事や修繕する人もいて成り立っています。
そういうの“社会インフラ”っていうんですけど、基本的に緊急事態宣言だろうがなんだろうがリモートワークが難しい場合も多く、好きなときに休むことも難しいです。止められないので。エンジニアのとき深夜にお客さまからの電話を受けて緊急で対応したこともたくさんあります。長時間残業とか納期との戦いとかお客さまに怒鳴られるとか…心身を消耗する事象はたくさんありましたけど、それより何より人命に関わるシステムに携わることが怖かった。間違えたら取り返しがつかないことになってしまう。

今自分がいた業界のことを書きましたけど、他の業界でもこういうことありますよね。残念ながら今の日本でホワイトな環境で働いてる人たちはそんなに多くなくて、苦しみながら提供されたサービスで私たちは快適に生活しています。
もちろんそれを肯定したいわけではありません。どの業界も劣悪な労働環境は是正されるべきです。現にIT業界は昔に比べると残業規制も厳しくなって、サービス残業をなくす動きもあります。(説明のためにひとまとめにしましたが、IT業界は業態によって文化がかなり違っていて複雑なのでざっくりたとえ話と思っていただければ…)
アイドルに対して「もっと幸せになって」と言いながら、予約注文したグッズが届くのが遅いと文句を言う自分をふと俯瞰したときに矛盾を感じて自己嫌悪に陥ったっていう話なんですけどね……

 

おわりに:私の幸福な人生は他の誰かにとっては不幸かもしれない

なんかいろいろぐちゃぐちゃ言いましたけど、これって正解があるわけでもないし、アイドル本人から本音を直接聞けるわけでもないし、お気持ち表明したところでなんにもならないんですよね。ただの自己満足です。
でもこういうキャリアについて考えるのって、私たち一般人もいつかは直面する問題で(私は30歳過ぎてるので直面した問題で)あとから取り戻すのってめっちゃ難しい。残念ながら今の日本ってまだまだやり直しの難易度が高いんです。能力が超絶高い人とか、お金の力で好きに人生を操れる人とか、そういうごく一部のチートを除いて、なんとか働いて食っていかなきゃならない。
仕事って別に好きでなくていいし、嫌々でも全然いいんですけど、でも24時間のうち少なくとも8時間くらいは仕事してるじゃないですか。楽しいって少しでも思えたり、得意なことを仕事にできたらきっとハッピーですよね。得意なんてないって声を聞くこともありますが、「毎日毎日繰り返してもそこまで苦じゃないこと」とか「小さいころ無性に好きだったもの」とかその程度でいいと思います。私もエンジニアになったキッカケなんて、「アニメオタクで毎日なりきりチャットをやっている時間がめっちゃ楽しかったからパソコンを毎日使う仕事なら向いてるんじゃね?」とかいう理由でしたから……😂

そうそう。大切なことを書き忘れていました。私の人生設計には結婚・出産という文字はないのでこういう考え方(仕事とかキャリアとか孤独死とか終活とかが焦点)ですけど、そうじゃない人生を歩んでいる方もいらっしゃいますよね。
私の生き方は誰かにとっては不幸だし、誰かの生き方は私にとっては不幸かもしれない。そして40代の私は、20代・30代でこんな選択をした私に怒るかもしれないし、褒めるかもしれないし。30代のキャリアはなんとなく定めてますが、40代の自分は正直今まったく想像がつかないです。自分のことも見通せないとなるとなおさら、自分の物差しで他人を測ることはできないと強く思います。
だからきっと私は「K-POPアイドルってかわいそう」「こんな仕事を選ばなかったらもっと幸せだったのに」って言い切るのが怖いんですよね。だって尺度が違うから。

でもこれも長くK-POPを見てきた人はまた違った意見になると思います。苦しむアイドルや悲しい選択をしたアイドルを見てきた方もいるだろうし、自分の意志ではない活動を強制させられるアイドルももしかしたら見てきたかもしれないし。
この話、いつかすっきり「これだ!!!」みたいな意見がどこかから出てきますかね。とりあえず今はアイドルたちが提供してくれるコンテンツをありがたく享受して、公式にお金を落として、楽しんでいこうかと思います。
アイドルが自信と誇りを持って、可能な限り楽しんで、心も体も健康を保って活動できるよう願うのと同時に、自身の人生も豊かにできるよう努めていけるといいですよね。