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【MV】女性ダンサー多数出演で物議?THE RAMPAGE『HEATWAVE』を紐解く

今回は6/15(火)にMVが公開された、THE RAMPAGE(以下、ランペ)の『HEATWAVE』について個人的に感じたことを少し書いておこうと思います。

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記事タイトルのとおり、女性ダンサーがたくさん出てくるMV、かつ過去同様に女性が出演した『Welcome 2 Paradise』と違ってかなり密着度が高いこともあり、公開直後界隈はそこそこ荒れていました。女性ダンサーの扱いが女性蔑視だという声も耳にして、それに追い打ちをかけるようにランペのマネージャーブログでは「(女性ダンサーにファンが)嫉妬している」といった表現もあったようです。※私は2020年にマネージャーブログを退会しており実際の文面は見れておりません。

今回はなぜそのような解釈に至るファンがいたのか、制作側の狙いはなんだったのか…などを自分なりに噛み砕いてみます。ただ、いつにも増してあまり自信がないので「そういう解釈もあるんだ~」という感じで読んでいただければと思います。

 

 

楽曲概要

HEATWAVE』は、EXILEや三代目JSBの弟分にあたる、所属グループ最大人数である16人組のTHE RAMPAGEが2021/06/30にリリース予定の14枚目のシングルです。作曲にはおなじみAva1ancheさんの名前が。作詞のAMBASSさんは、ここ最近ランペの作詞を手掛けてくださってる方ですね。
音源配信は6/7にスタートしており、前述のとおりMVも6/15にフル尺で公開されています。LDHでは少し前からリリースの数週間前には先行配信されることが恒例となっています。

また、ここ暫くはMVもフル尺で公開*1していて、メンバー自身「再生回数が○日以内で○万回いったら○○する!」という公約を掲げることがチラホラ出てきました。
ただ、K-POPと違ってスミンの文化がないため1週間で100万再生も難しく、今回ランペが掲げていたその目標も達成とはなりませんでした。とはいえ80万回は超えておりそれほど悪い数字ではなかったと思います。

 

曲調について

聞いていただくと分かるとおり、爽やかなサマーソングというよりは、ラテンサウンドで「情熱的な熱帯夜」といった感じでしょうか。ナタリーさんの記事には以下のように紹介されています。

妖しさと艶やかさを兼ね備えたミッドテンポのラテンナンバーで、真夏の熱帯夜に出会った男女の熱い一夜が描かれている。

過去の曲でいうと『LA FIESTA』『Fandango』そして『Move the World』あたりのエッセンスも入っていることが分かります。
ちょっと話が逸れますが…『LA FIESTA』はリリース当時、音楽番組で披露した際に反響が大きく、私もランペの好きな曲トップ5に入ってくる楽曲でもあります。

 

歌詞について

「真夏の熱帯夜に出会った男女の熱い一夜」から察せられるとおりの内容です。オブラートもなしにほんとに一夜の恋ですね!いっそ清々しい!笑 この部分なんか特に分かりやすいんじゃないでしょうか。

“ただの火遊び”でも構わない
夜が明けるまで Stay with me 

のちほどMVのスクショでも歌詞表示しますが全部は載せられないので、よければ以下から全文をご覧ください。

THE RAMPAGE from EXILE TRIBE HEATWAVE 歌詞 - 歌ネット

 

THE RAMPAGEのファン層

あまり界隈に知り合いがおらず、肌感ですが10代~20代前半のファンが多いようです。2020年までは現場にもよく行っていたのですが、当然EXILEや三代目、GENEのファンよりはかなり若いですね。5周年記念フリーライブ(代々木公園)では、四方を制服姿の女子高生に囲まれたことを思い出しました。ただ、ファンタやバリに比べると私のような30代以降のファンも見かけるような気がします。
ランペファンの特徴として、HIPHOPや洋楽が好きだったり、音楽やダンスに詳しい人が多いイメージがあります。ランペのパフォーマンスの傾向的には納得です。
あとは全体的にというわけではないですが、いわゆる「リアコ」が多い、またファンの年齢が若いわりにライブ等の現場で「最前に命をかける」層が多いといったものがあります。現場や接触イベに本気度が高い、熱心なファンが多いというのはグループにとってはいいことですね。
ランペはライブがめっっっちゃ楽しいです!!8月の東京ドーム公演、もし興味がある方がいらしたらぜひ声をかけてください…!(宣伝)

 

ファンに人気の高い楽曲・MV

ライブでは“ゴリゴリ系”なんて呼んでいる男らしい熱さが感じられる『100 degrees』や『HARD HIT』の人気が高いのですが、楽曲そのものでいうと『Can't Say Goodbye』『Starlight』あたりのミディアムバラード、バラード楽曲も人気があります。(以前公式がアンケート調査をおこなったことあり)

www.youtube.com

MVはありませんが、トロピカルハウスのサウンドが心地よい『Can't Say Goodbye』は2019年のa-nation(公式動画)で一部パフォーマンスを見ることができます。私も大好きな曲なので紹介させてください。笑

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最近のタイトル曲は“ゴリゴリ系”がなく、多様な楽曲を聴けるのは嬉しいのですが、やや物足りないといった声も聞こえてくるのが現状です。そういう意味では『HEATWAVE』はわりとファンが好きな方向性だったと思うのですが…MVが(一部?多数?の)ファンが求めているものとは違ったのかもしれません。

 

実際にMVを見てみる

冒頭に動画を貼ったのですでに見てくださった方ももしかしたらいらっしゃるかもしれませんが、まだという方のためにスクショつきで紹介したいと思います。 
…といいながら人数が多いグループのためカット切り替えが速すぎてあまりいいショットが撮れておりません…。よければ一度動画で見ていただければ嬉しいです。

THE RAMPAGE from EXILE TRIBE / HEATWAVE (MUSIC VIDEO) 

 

この2枚の比較だけでもう十分かもしれない(?)

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よくよく見てみると結構な密着具合ですね……!これは今までにはない感じです。

ランペのボーカルは3人。MVではやはりボーカルがよく映ります。今回も3人それぞれ違った魅せ方をしており、個性というか「らしさ」というかを感じられます。
ちょっと違いを見てみると……まず川村壱馬くん。見て分かる通り、大勢の女性に囲まれてもなんとなく一線を引いていて、触れているのに別世界の存在のような空気を感じます。

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迫るシーンもあります。こういう表情が見れるのはレアでドキドキします。

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続いて吉野北人くん。こちらもなんだか女性ダンサーさんがオブジェのような無機質感があり、セクシーやエロティックではなく不思議な印象を受けます。

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可愛い感じの雰囲気のメンバーなので女性と並ぶと新鮮です。

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最後にRIKUくん(私の推し:TMI)。こんな推しの表情見れることなくないか!?!?3人の中では年上なこともありややアダルティーな雰囲気のRIKUくん。

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昼のシーンも1枚。メンバーによっては結構露出も多いです。

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ランペといえば16人の迫力のあるパフォーマンス。MVでは引きになるためちょっと伝わりづらいですが、映ってる全員がグループのメンバーと思うとやっぱり数の威力はすごいなと改めて感じます。

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パフォーマーメンバーも少し紹介します。メンバーによってほぼアップにならない&一瞬しか映らないこともあり偏っていてすみません…。

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最初に紹介した2人と違って、こちらは男女の関係をほのめかす演出ですね。

 

4つの『HEATWAVE』MVへのリアクション

もちろん細かく見ればファンひとりひとり感想は異なるのですが、大きく4つに分けられるように思いました。

 

①女性ダンサー出演否定派「推しとくっついて欲しくない」

場合によっては「リアコ」という呼び方は揶揄を含むこともあります。ただ、顧客としてこの層は一番お金を出す層(もしくは将来そうなる可能性のある層)でもあると私は思っています。兼任があまりおらず、一途に推すタイプが多いのも特徴です。
とにかくダンサーだろうがなんだろうが女性との絡みを嫌います。ドラマやバラエティでの女性との共演はもちろん、SNSでの匂わせにも敏感です。
これは男性グループを推すファンとしては普通の反応です。しかしこういった演出が続くと離れてしまう可能性が一番高いため作り手・売り手としては注意が必要です。
おそらく今回一番割合的には多かったのではないかと思います。演出だと分かっていても推しと密着する女性の存在はかなりダメージとなるようです…。

 

②男女差別・女性蔑視嫌悪派「女性ダンサーは男の添えもの?」

声の大きい人をちらほら見かけただけなのか、全体の割合が多いのかは分かりませんが、個人的には一番驚いた反応でした。確かにこれまでのランペにはない女性ダンサーさんの取り入れ方ではありましたが、こういう捉え方もあるのかと勉強になりました。つまり30代前半の女性である私でもこの捉え方ができていないということは、作り手である(おそらくそれ以上の年齢の男性陣)には理解できないだろうと思います。これはもうそういう時代に生きてきたので…本当に気をつけてても無意識に刷り込まれてるんでしょうね。特に男性側は改めるのが相当大変だろうと推察されます。それは私がSE(システムエンジニア)という同僚が9割男性、お客さまは100%男性の世界で生きていた実感でもあります。

どうもこの②にあてはまる層の反応を見ていると、「このMVでは、ダンサーという職業を男が上、女が下という差別をしている」とのことらしく主従の関係っぽいのがダメなのでしょうか…。Twitterを見てるとひとりやふたりじゃなかったので、私の感覚がだいぶ時代に合ってないという証かもしれません。
あとは女性の衣装の露出度がかなり高く、動きも性的なものを連想させるため不快な気持ちになった方が多いようでした。確かに丈が短いのは若干気になりました。

またLDHE-girlsが解散して、女性ダンサーの行き先が(この言い方は好きではないのですが)バックダンサーしかなくなったのが現状です。女の子のグループもあるにはありますが、ある程度年齢を重ねると難しい。そういった背景もあっての意見なのかもしれません。

 

③16人だけで作るステージが好き派「人数多すぎて見えづらい!」

①と似ているように見えますが、③の層は「16人で十分カッコいいステージができるから他の要素はいらん!」というパフォーマンスガチ勢です。また、ランペは16人と人数が多いグループなので単純に画面に人が増えて見えづらいのもあります。
実はランペは(おそらくEXILE TRIBEでは)唯一アリーナクラスの大箱でもダンサーさんを起用していないグループです。それはファンもランペのライブの好きな部分として挙げるほど大切なポイントなので、今後それが崩れるのではないかという懸念もあってのことだと思います。
「THROW YA FIST」ツアーの登場時、さいたまスーパーアリーナの花道をアリーナ最後列近くまで伸ばし、そこに16人が拳を掲げて並んだ光景は今でも忘れられません。これはランペにしかできない演出です。

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④演出として受け入れる派「こういうのもありじゃん」

私はこの層です。おそらくある程度年齢がいってるとこの思考になるんじゃないかと勝手に思っています。メンバーに対してアーティストとファン以上の思い入れがないため、「今回はこういう演出なんだな」と受け取る派…よくいえば素直ですが…笑
もちろん熱心なファンで、「ランペのこれまで見たことない表情見られて最高!!」「女性ダンサーさんと絡むとまた違った雰囲気が出る!!」と喜んでいる方もいらっしゃいました。全体を占める割合はどのくらいか…ちょっと想像がつきませんが、声を特に上げていない人で④もそこそこいるんじゃないかなと思います。

 

(余談)『Welcome 2 Paradise』との違い

冒頭でも名前を出した『Welcome 2 Paradise』との違いについて少し触れておきます。
W2Pも女性キャストが大勢出演しています。でもどうやら出演する女性が日本人(アジア人)か欧米人かで結構受け取り方が違うようなんです。個人的にはいまいち共感しづらいのですが…欧米の方だと自分と距離が遠くて「作品として見れる」ということなのでしょうか。
どんなMVだったかは当時感想を述べた記事があるので貼っておきます。スクショをたくさん貼っているのでなんとなく雰囲気は分かると思います。

kuraxkura.hatenablog.com

もちろんそれだけでなく、W2Pは手をつないだり向かい合ってお酒を飲んだりするくらいでほとんど密着はしていません。また、華やかなパーティーの演出のためエロティックさを感じづらいというのもあります。(ちなみにこれ撮影場所、韓国のホテルなんですよ~!)

 

作り手側・演者側の意図

今日ちょうどこのMVの監督を務めた久保監督がツイートされてました。

オーダーに女性ダンサーとの共演があったような書き方です。久保監督はランペのMVもたくさん撮ってくださっていて、ダンスを魅せるMVを撮ることに定評のある監督です。後日また解説してくださるので、そのとき私の意見も変わる可能性もあるかもしれませんが…。ファンの質を晒すようでアレなのですが、リプ欄を見ていただけるとなかなかの地獄です。

おそらく作り手(監督にオーダーした側)は「真夏の熱帯夜に出会った男女の熱い一夜」を示すストーリーといえば、女性ダンサーとの共演だと思ったのでしょう。また記事を引用させていただきますが…

MVは異国情緒あふれる街並みを舞台に、メンバー16人と女性ダンサー16人の計32人で撮影した。カラッとした夏らしい昼のシーンと、妖艶な雰囲気漂う夜のシーンで構成され、女性ダンサーとのペアパフォーマンスも披露。THE RAMPAGE史上最も攻めた、刺激的なMVが完成した。

THE RAMPAGE、最も攻めた刺激的なMV「HEATWAVE」公開 女性ダンサーとのペアダンスも:紀伊民報AGARA

また、コレオは今回もメンバー自身が担当しています。

サビのダンスの振り付けはメンバーの与那嶺瑠唯後藤拓磨が担当。2人は「内からなる情熱」「一体感」「キャッチー」というキーワードをもとに、レゲエの要素を取り入れたシンクロ率の高いダンスを構築した。

メンバーは(本心かどうかは別にして)今回のMVに対して「セクシーな大人のMVになった」と言っていたように思います。
私はここ最近ラジオやmobileの日記もまったく触れていないのでパッと見た感じですが、おそらく本人たちも女性ダンサーと絡まないで欲しいというファンの声はあるだろうと想定しつつも、ここまで乖離があるとは思っていなかったのではないでしょうか。

 

なぜファンとのズレが生じたか

そもそも作り手は「女性ファンが多いグループのメンバーが女性ダンサーと絡むのを好意的に受け取る」と思っているのでしょうか……?
LDHのグループはアイドルではありません。でも三代目のメンバーですら言及するようにアイドル的な立ち位置を求められ、ファンもアイドル的な推し方・見方をしている人もたくさんいます。それはランペも同様です。特にファン層が若い=ランペと同世代か年下になるのでそういった人の割合も増えます。なお、純粋にアーティストとして推している人と比べていい・悪いをここでは語りません。(正解もないので)
言いたいのは「作り手はターゲット層のニーズを汲み取れているか」です。作り手が作りたいもの・表現したいものを貫き通したいなら趣味でやるべきです。でもこれはランペのシングルであり、リリースしてストリーミングやMV、そしてCDを売り上げる必要のあるビジネスです。それを理解した上での表現や演出であれば、若干リサーチ不足が否めませんし、「分かる人だけ分かればいい」と一部のファンを突き放していいほどグループはまだ安定した地位を築けていないことを知るべきです。
私は今回のMVに対して不快に思う部分は実はありませんでした。年齢的にもメンバーも出演している女性ダンサーさんもずっと年下ですし、こういう作品なんだなと受け取ったひとりです。それでももしファンの大部分が納得していないのであれば、ターゲットへの理解が足りていないことをコンテンツ制作側は自覚する必要があります。
また、私は他の記事でもターゲット理解やユーザー理解という単語を頻繁に出しますが、今回の件は同じくらい商品(=THE RAMPAGEの売り・魅力)理解もやや不足しているのではないかと感じました。もちろんランペ自身のパフォーマンスが劣っているわけではなく、そのよさを引き出すための売り方ができているかという意味です。

実は先日公開された、三代目の新曲『TONIGHT』のMVも女性との絡みが多く、『HEATWAVE』と比較するようなツイートも見られました。ただ、三代目のほうはファンの年齢層も高く、ストーリーに沿った演技シーンが多かったので予想していたほど批判的な声は見られなかったように思います。

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HEATWAVE』よりもずっとセクシーなシーンは多いはずなのに、楽曲と作品、そしてメンバーのシナジー効果がよく出ていて楽しめた人が多かった。やはり商業コンテンツの制作にはターゲットの理解が欠かせません。(ただ、NAOTOさんがYouTubeフォローするような動画を出していたのでまったく否定的な声がなかったとは言えないようです。コメント欄も否定的意見のほうが目立ちます。)

もうひとつ『HEATWAVE』は、出演した女性ダンサーは日本人で、彼女たちの一部はSNSでMV出演を“自慢した”らしいのです。これは私が見かけたファン側の言葉なので実際どのようなニュアンスの投稿だったか見ていません。ただ、ファンの感情を逆撫でしたことは言うまでもありません。こういった点にも詰めの甘さが現れています。

 

作る側が意識するべきこと

LDHはたびたび“お抱えの”昭和で感覚が止まっているクリエイター陣を起用してファンを落胆させることがあります。朗読劇しかり、ドラマやバラエティしかり、そして歌詞しかり。せっかく楽曲や映像が素晴らしくてもファンの感覚とのズレが生じてしまう。それは結局購買意欲の低下、長い目で見るとゆっくりとグループの衰退へとつながります。
現代のファンは盲目的にお金を出す人は減ってきていると感じます。それは目にするコンテンツ量が膨大で、多様性もあり、選んでお金や時間を使わないととってもすべてを消費している余裕がないからです。
私もLDHからK-POPへと軸足を移したひとりとして、どちらも魅力的だが自分にとって心地のいいほう、ツボをくすぐるほうへ惹かれるのは当然だなと思います。これは実際(エンタメではありませんが)コンテンツを作る側でもある自分も心に留めておかなければいけないことです。

 

さいごに:時代とともに変わる必要がある

今回、「女性ダンサー」がTwitterのトレンドに入るほどファンにとっては賛否ある作品であったことは間違いありません。炎上が認知の拡大につながる例もありますが、今回はそこまで大きな影響はなく、既存ファンと制作サイドとの心理的距離をまた広げただけのように思いました。
表現とその受け取り方に答えはありません。メンバーが見せたものを正として、素直に受け取ることもできます。逆にファンであっても間違っているものを間違っていると表明することもできます。そして、否定的な声に押されて「私はいいと思ったのに……」と自分の感性に自信を持てなくなったり、ポジティブな声を上げにくかった方もいるかもしれません。

全員を納得させる作品を作り上げることはとても難しい。しかし「ターゲット理解」「自分たちがお客さまとしている層の好み」「想定されるリアクション」を押さえることはマーケティングの基本だと思います。
冒頭に書いたようなランペのマネージャーという立場の方が「ファンが若い女性に嫉妬している」という表現は、確実にファンだけでなくコンテンツ、ひいてはメンバーにとってもマイナスでしかありません。仮にそう感じたファンがいたとしても、売り手側が今の時代に発していい言葉でないことは私でも理解できます。
今後も安定して良質なエンターテインメントを届けたいとLDHが考えているのであれば、時代に合わせた思考のアップデートは必要不可欠でしょう。

 

最後に……作り手としてでなく、純粋に音楽やダンスが好きないちファン(素人)として、時代に合わせたアップデートも必要だと思いながら、やはり男女で体の作りや性差があるからこそ映える表現・できる演出もあると思っています。それらをすべて取り除いて、果たしてそれが正解なのだろうか…?と。
私は腐女子なので(いきなりの発言)男女のカップリングを好んで見るわけではありません。でも男女だからこその世界観っていうのはありますし、同時に同性同士だからできる魅せ方なんていうのもあるでしょう。ジェンダーは難しい問題で、私のように鈍感な人間が論じていいものではないと分かっています。でも今回の『HEATWAVE』は20代前半でまだまだ若いランペが「男性としての魅力的な一面」を見せてくれた気がして嬉しく思った部分もあったんです。でも周りの反応はそうではなかった。
LDHに限らず、K-POPのコンテンツを見ていてもそういう感じ方のすれ違いはよくあります。自分の感性が歳をとって古くなったのか、悩むこともありますが、自分の受けたファーストインプレッションを大切にしたいとも思います。
そして同時に公開されたコンテンツに傷ついた方の気持ちも大切にしたいのです。同じファンとして、傷つけ合うことは望みません。だからこそ今回のように違和感を感じた方はどこに引っかかったのだろうかと考えることを惜しまないようにしていきます。

*1:以前はフル公開ではなかったのですが、背景には三代目の登坂くんの訴えかけなどいろいろあり今に至ります