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【舞台】REAL RPG STAGE『ETERNAL』念願の上演!THE RAMPAGEメンバー6人の“新たな”魅力

“舞台”には、ライブとはまた違った生感があり、その瞬間にしか見られない物語があり、役者の魂と役がまるで一体となったかのような錯覚に陥ることがある。

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ネルケプランニング公式サイトより

本日、2021年9月22日(水)はTHE RAMPAGE(以下、ランペ)のメンバー6人が出演、ボーカルのひとりであるRIKUくんが主演を務める、REAL RPG STAGE『ETERNAL』の初演を観劇してきた。
この舞台は本来は今年5月に上演が決まっていたものの、コロナ禍の緊急事態宣言に翻弄され一度は中止となったが、先日のランペのツアー中に再演が決定し、無事に本日幕を開けた。私は出演メンバー6人がこの舞台にかける思いを今日実際に観劇して初めて理解できたように思う。一度は届けられないと決まったとき、彼らがどれだけ悔しかったか。舞台の出来を見て痛いほどに感じた。『ETERNAL』は、単に“ダンスボーカルグループのランペのうち6人が舞台に出演する”に留まらないものだった。

私は原作となっているゲームをプレイしておらず、また予備知識もないまま見に行ったため以降は舞台でのみの印象で感じたことを書き残したものである。

 

あらすじ

LDHモバイルサイトから引用

旧教国・ロッツフォート公国の公位後継者であった王子レンブラント(RIKU)は、幼い頃に多民族集団オルドによって故郷と父・ヘンドリック(加藤雅也)の命を奪われた。
大好きだった兄・リーフェン(藤原樹)も闘いの中で失踪し、レンブラントは母の故郷である新教国・ノルダニア神聖国で育てられることとなった。

――16年後。レンブラントはオルドに奪われた故郷の地を取り戻すために“聖なる誓約団”を立ち上げ、仲間と共にディランド地方へと進軍する。

王家の側近・コーレイン家出身で規律を重んじるルーク(岩谷翔吾)、貧民街出身の切込隊クロエ(長谷川慎)と観察眼の優れた色男ジーン(鈴木昂秀)、貴族出身で弱腰の新人・キャメロン(陣)らと進軍していく中、レンブラントたちはオルドだけではなく、ノルダニア神聖国に反発する旧教徒たちとも剣を交えることとなる。

オルドさえ殲滅すれば国が安定すると考えていたレンブラントだったが、旧教徒たちの剣にオルド軍の刻印を発見。旧教徒の集う廃墟聖堂に乗り込むとそこにはレンブラントのかつての師・スチュアート(姜暢雄)の姿があり――。

 

キャスト

LDHモバイルサイトから引用。上に名前のある6名がランペメンバー。RIKUくんのみボーカルで残りの5人はパフォーマーである。

レンブラント〉RIKU
〈クロエ〉長谷川慎
ジーン〉鈴木昂秀
〈キャメロン〉陣
〈ルーク〉岩谷翔吾
〈リーフェン〉藤原樹

レンブラント(幼少期) 〉占部智輝/三木治人(Wキャスト)
〈リーフェン(幼少期) 〉岩間甲樹

〈スチュアート〉姜 暢雄

〈ヘンドリック公〉加藤雅也

 

雑感(ネタバレを含む)

舞台の上でキラリと光る、ひとりひとりのポテンシャル

普段ライブやバラエティ、FCやモバイル内コンテンツでは見えてこなかった(もしくは私がK-POPに傾倒しているあいだ見逃していた)6人の魅力と、ポテンシャルがこれでもかと詰まった舞台だった。
ランペはメンバーが16人もいるため、やはりひとりひとりにフォーカスするには通常の尺では収まらず、目立つメンバーというのは必然的に固定される。それは人気度に左右されるものでもあるし、喋りが得意・不得意といったところも影響している。
しかし、こうして6人という少人数でスポットライトを当ててみると、全員が甲乙つけがたい魅力とスキルの持ち主であり、私はなんて素敵なグループに出会って、こうして応援することができているのだろうと幸せを噛みしめる思いだった。

まず、RIKUくん演じるレンブラントは、私たちファンが知るRIKUくんそのものだった。別け隔てなく接する心優しい人。気高く誇り高く信念を貫く人。それを体現するかのように、この舞台でのRIKUくんは凄まじかった。朗読劇は経験しているものの役者仕事は初めてで、セリフも多い。感情の起伏が大きいキャラクターではない分、細かい表情や声色の演技も相当練習しただろう。しかもその初めてが複雑な立ち回りや階段での殺陣があるこの舞台。舞台がファンタジーなので着ている衣装も普段の服やライブ衣装よりは動きづらそうで、大きな剣を持っているシーンも多かった。
極めつけはかなり激しい動きをしたあと間髪入れず入る生歌唱。ライブではどれだけダンスをしてもブレないRIKUくんの歌声が、(目立つほどではないと個人的には思ったが)少し揺れていた。とても珍しいなと思った。それでも会場で聞いたRIKUくんひとりの生の歌声は鳥肌が立って、自然と涙が出てくるほどに素晴らしかった。それは歌声自体はもちろん、ここまで作り上げるのに彼が努力してきた過程をも想像して流れた涙だったと思う。
再三書いているが私がランペを知って、RIKUくん推しになったのは偶然だった。たまアリでランペのライブを見て、RIKUくんの歌声に落ちたことをまた思い出したが、彼の歌声は当時よりさらにさらに磨き上げられていた。人の心を揺さぶる、魂のこもった歌声。会場に響く歌声に誰もが息をするのを忘れたように聞き入ったことだろう。
ランペは3人ボーカルでそれが強みであり個性であり、3人にしか作り出せない音楽がある。それは絶対的な前提として、今日RIKUくんのソロの歌声があの会場に響き渡ったことは心の底から嬉しかった。

レンブラントの兄・リーフェン(腹違いの兄で、弟であるレンブラントの母が正妻、リーフェンの母が側室)を演じたのは藤原樹くん。美しい容姿に身も凍るような冷たい眼差し、憎しみのこもった低い声で発する重みのあるセリフ…まるでリーフェンというキャラクターが舞台上に具現化したかのようにぴったりと似合っていた。
実際の年齢でいうとRIKUくんのほうが年上で、樹くんは3つも年下だ。幼いふたりを演じる子役の子を見るにキャラクターはもっと離れている。しかし、舞台を見てなぜ樹くんが兄役、RIKUくんが弟役かは即座に納得をした。この兄弟の関係性を樹くん・RIKUくん以外の配役で演じることはもはやまったく想像できない。それくらいふたりはそれぞれのキャラクターと人間関係を演じきっていた。
樹くんは確かに演技経験はあるもののそれほど多くはないし、少し滑舌がよくないイメージもあった。今日驚いたのはそんな前提知識が間違っていたのではと思うほどの演技のうまさだった。キャラクターが合っていたのもあるだろうが、多くは表情があまり変わらないながら、見下したり蔑んだり、また声を荒げるシーンも度々ありその高低差をここまでうまく演じられる人だったのか…と衝撃を受けた。
終盤レンブラントと一騎打ちをし、うなだれるシーンではモニターに映された表情がレンブラントのセリフとともに僅かな変化をさせていることも分かり感嘆した。なにより立ち回りの姿が美しかった。5人とは一線を画し、ひとり異なるオーラを放つ樹くんはリーフェンそのものだった。

個人的に一番いい意味で期待を裏切ってくれたのは色男ジーン役・鈴木昂秀くんだった。昂秀くんは朗読劇ではセリフが少ないながら非常に印象に残っていたのだが、まさか舞台でもここまで魅せてくれるとは……彼に早く演技仕事を持ってきたほうがいい。緑色のロングヘアに高身長、スッと整った顔、ひょうひょうとしながらも情があり、仲間思いのキャラクター。これほどうまく消化できるのは昂秀くんだけだろう。
とにかくセリフの抑揚、声の大小、それに伴う表情、なにを取っても欠点がなかった。長谷川慎くん演じるクロエとの掛け合いの小気味よさ、間合いもとてもよく、世界観に一番馴染んでいたように思う。本人がゲーム好きというのも影響しているのかもしれない。クロエはちょっとやんちゃというか、他のメンバーより粗野な印象で、普段の慎くんとは全然違うのに妙にしっくりきていてとてもよかった。やや乱暴な言葉づかいや突っかかっていくことろ、姜暢雄さん演じるスチュアートに後先考えず向かっていくところなどつい見入ってしまいハラハラさせられた。

そしてキャメロン役・陣くん。素と演技のはざまを演じさせたらピカイチ。この舞台を必要以上に重々しくせず、見てる人たちに安心感を与えてくれる存在でありながら、“聖なる誓約団”に入る経緯を納得の演技で見せてくれた。クロエと絡むシーンが多く、序盤は情けない雰囲気を出しつつ、中盤以降の頼もしさは半端なかった。
こうして書いていると気づくが、最初はRPGな世界観とカタカナ用語に「ついていけるだろうか……」と心配していたのに(国名などの固有名詞はやや曖昧ながら)キャラクターにはすっかり感情移入して世界観に入り込んでいたことが分かる。

最後にルークを演じた岩谷翔吾くん。翔吾くんはランペの中でも演技経験が多いメンバーで、個人的に期待値も高かった。そしてもちろんそれを超えてくれた。普段はほわほわと可愛い雰囲気でちょっと天然っぽいところもある翔吾くんだが、パフォーマンスでは人が変わったようになる。それが今回のルークでもまた別の一面を見ることができたように思う。真面目で堅い役どころというのは翔吾くん自身と近いものがありながら、内通者であり、しかし悪者にはなりきれず幼馴染であるレンブラントに手助けをした形となった。やや低めの声で言うセリフはとてもカッコよかった。
ルークが内通者だと分かったのはやはり作品中でも触れられていた、偵察時だろう。帽子を被り駆けていく様子のただならぬ雰囲気がとてもよかったし、ただの悪ではなかったのも翔吾くんが演じるキャラクターらしくてリアリティを持ってキャラクターを眺めることができた。
そしてなにより軽やかな身のこなしの殺陣は見ごたえがあった。もちろん6人ともが想像を上回る動きで、またライブパフォーマンスとは違ったよさを感じさせてくれた。

私はランペのファンであると同時に、2.5次元舞台やミュージカルも好きなオタクだ。だからこそこの舞台は、ランペ6人を支えるベテランの役者さんたち、子役の子たち、そして圧倒的なスキルを持ったアンサンブルの皆さんがそろったからこそ出来上がった舞台だったと思った。ネルケプランニング、いつもありがとうございます……!

 

ライブパート:短時間にギュッと詰めた贅沢なステージ

劇の余韻に浸るのもそこそこにすぐにライブパートへと移った。かなり動きも激しかったのにこのままライブパートへ行くのか!?と驚いた。しかも2日目は昼夜2公演あるので本当にすごすぎる……。
まず、東京ガーデンシアターは音響が比較的よく、挿入歌である『Stampete』が響き渡るのを聞いてさらにさらに好きになった。よすぎる。

少し前にRTとツイートをしたが、この楽曲、なんとK-POPの人気男性グループNCT 127の『Simon Says』とほぼ制作陣が一緒であるというではないか。『Stampete』をはじめて聞いたときにK-POP、もっと言うとSMエンタ感があったのだが間違いではなかった。

youtu.be

そして舞台のメインテーマ『Moon and Back』。ほっんとにいい……まさかこれをRIKUくんがソロで歌うのを生で聞けるとは……素晴らしかった。音源で聞く以上のものがあった。

これ2曲ともランペツアーの追加公演で歌うよな……チケット取らなかったけどどうしても行きたい気持ちになってきてしまい困った。

さて話を戻して。ライブパートでは、昂秀くんのラップから始まり、6人でLightning、からの樹くんがノキノキ、陣くんがFEARS(どちらもインストアレンジ。かなりかなりよかった。音源欲しい)でソロパフォーマンスを披露し、翔吾くんのダンスとRIKUくんのピアノ弾き語りのMY PRAYERがあり、RIKUくんソロからのクロエソロパフォーマンスからの最後は全員でITLをパフォーマンスするという贅沢構成だった。プロジェクションマッピングを使った特殊なスクリーンの演出も目を引いたし、短時間だからこそのギュッと詰まったハイクオリティのショーケースだった。
あとで考察されている方のツイートを拝見したのだが、それぞれのキャラクターと曲の歌詞がリンクしているのではないか?というので再度衝撃を受けた。楽曲こそ制作は自分たちではやらないが、その曲を深く理解し、別の作品へと昇華するセンスとスキル、そしてもとのものとは別のコレオを作り、リーフェンを演じた樹くんがソロパフォーマンスで殺陣の動きを交えたことなどランペのみんなのクリエイティブに対する本気度をまた垣間見たような気がした。

 

このご時世にオフライン公演をやるということ

いまだにコロナ禍で県をまたぐ移動は制限され、自身や家族が感染もしくはその疑いがありなかなか思うように現場に行けないという人は多い。そんな中、開催するからには健康である以上現場へ行きたいというのがファンのサガだろう。もちろんいろいろな思いで行くのをやめた方もきっといるに違いない。
私は独り身で完全に在宅ワークという前提もあり、こうしてこの舞台を見に行くことができた。しかしチケットを取ってくださったのはフォロワーさんであり、自身の力ではない。
生で舞台やライブを見るという体験は、やっぱりどうしたってオンラインには敵わない。これはK-POPにハマって有料・無料のオンライン公演を数え切れないほど見てきた今でもひとつも変わっていない思いだ。その現場のその瞬間の肌で感じる空気、息遣い、セリフや歌、流れるBGMやSE…役者もボーカルもパフォーマーも、もちろん客も二度と同じ時は味わえない。

この舞台をたった3公演で終えてしまうのは勿体ない。もっと多くの人に『ETERNAL』を生で体験して欲しい。今日見たものは心からそう思えるものだった。

 

2021/09/23 追記:

2日目の夜公演を見てきました。今日は第1バルコニーの上手寄りのやや前方。昨日よりかなり見やすかったですが、やはり距離はあったので、初演のほうが生感があったかなという印象。ただ背が低いのでバルコニーの段差はありがたかったです。
初演より少し余裕も出てきたのか、さらに演技やセリフ回しもよくなっていて(でもこれ昼夜相当きつかっただろうな…!お疲れさまです)ものすごく最高な千秋楽でした。
RIKUくんの歌声、初演よりめちゃくちゃパワーアップしてましたね。特にシーン中初めて歌唱するところ。鳥肌がぶわぁって立ちました。歌声がすごすぎて。これだけ生歌で歌える人、本当にものすんごいレアな存在だし、RIKUくんの努力の賜物だなぁと改めて感じました。
そして今日はよりジーン(昂秀くん)に魅了されました。一発目のセリフからもうジーンが乗り移ってますよね。最初の殺陣のシーンもよかったなぁ……。初演もよかったけど、クロエとの掛け合いはよりよくなっていて、これせめて2週間くらいの公演期間あったらもっと化けただろうなと惜しく思うくらいでした。

カテコ2回目は客席総立ちのスタンディングオベーション。観劇で千秋楽にスタンディングオベーションするのは何度か経験がありますが、東京ガーデンシアターという8000人も入る劇場では初めての体験で、客席側にいてもかなり迫力がありました。RIKUくんが感極まって涙を流している姿にもらい泣き。「初めてを言い訳にしたくない」とここまでの舞台を作り上げてくださったキャスト・スタッフの皆さま、本当にお疲れさまでした。