The same Rainbow

LOVE DREAM HAPPINESS を追いかけて

【映画】#真相をお話しします はSNS時代を生きるわたしたちに何を問うたか

“今日本で一番聞かれているバンド”ことMrs. GREEN APPLEのボーカル兼ギター、そしてフロントマンである大森元貴さん。オーディションでの言動が注目され、ドラマやバラエティでの活躍も目覚ましい、元Sexy Zone・現timeleszの菊池風磨さん。
このふたりがW主演を務める映画「#真相をお話しします」(以降、「真相」と表記)を公開翌日である2025年4月26日(土)に見てきた。

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この映画はプロモーションがなかなかに熱心で、ふたり+東宝の社員であるヒロシ*1がメインとなってコンテンツを作っていく「#真相の部屋」というYouTubeチャンネルを始め、Xでの投票や謎解き形式の公開カウントダウン、公開前に作中のキャラクターを扱ったポップアップストアの展開など、さまざまな趣向を凝らした告知がなされていた。

同日、MODIで実施していた展示とポプストにも行ってきた。(以下の写真はすべて自身で撮影したもの)

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こちらは公開日に合わせて実施されているもので、映画を見るとなぜ公開前に「ふるはうす☆デイズ」のポプストをやっていたか大方理解できる*2
公開に向けた番宣にもかなり気合が入っていて(TBS PICTURESだからTBSの番組に出しやすいのはあるだろうけど)バラエティから朝のニュースからなんやらかんやら、とにかく大森さんと風磨くんをひたすら見続けた1週間だったような気がする。

わたしが真相に興味を持ったのは、前述の「#真相の部屋」がきっかけだった。たまたまTikTokで流れてきたそれを見て、「へぇ~ミセスの大森さん、演技するんだ。風磨くんと主演かぁ」となんとなく興味を持ってYouTubeの動画を再生したら、妙にツボに刺さって、それから数カ月ものあいだ真相の部屋とともに映画の公開をずっと楽しみにしてきた。コンテンツはところどころピー音で隠されており、おそらく映画を見たあとでもう一度再生してみると「これはそのことを言っていたのか……!」という部分も多くありそうだ。NGワード付きベストショットの小物も今見ると「そ、それは!」と思うものがある。

3月に実施された試写会は応募したものの外れ(とんでもない倍率だったそう)、公開日の舞台挨拶は予定が合わず応募もしなかったため、公開当日には見れなかったものの無事ネタバレ等を踏む前に翌日に見ることができてホッとした。まだご覧になっていない方には、ぜひまっさらな状態(原作を読んでらっしゃる方もいるだろうけど)で映画を見ていただきたい。

さて、この真相、どんな映画かと言うと……

前代未聞の暴露(ゴシップ)系エンターテインメント 開幕!

かつて一流商社の営業マンだった桐山(菊池風磨)は、友人に裏切られ、借金を抱え、以来、人と深い関わりを持たず、ビルの警備員として暮らしている。しかし、ビル内に事務所を構える、不思議な雰囲気の男・鈴木(大森元貴)の出現で、桐山の人生は再び動き出す。人懐っこく話しかけてくる鈴木を始めこそ煙たく思っていたものの、荒み切った桐山に多くを聞かず、受け入れてくれる姿勢に、桐山もいつしか心を許していた。事件以来三年ぶりにできた友人だった。

そんなある日、鈴木が桐山に一つの提案をする。それは、世間を騒がす暴露チャンネルで桐山自身の身に起きた事件の真相を語ることだった。バーチャル生配信暴露チャンネル【#真相をお話しします】、それはランダムに選択された視聴者が匿名で“有名人のゴシップ” “殺人事件の報道されていない真相”などとっておきの暴露話を披露し、そのたびに多額の投げ銭が投じられる前代未聞のチャンネル。

投げ銭なんかじゃんじゃんきますよ。 桐山さんの話、すごいから。
そしたら桐山さん、大金持ちじゃないですか。」
思いもよらぬ提案に舞い上がる桐山だったが、勇気を出して一歩を踏み出すことに。

「これは三年前、僕の身に起こった本当の話です。」
殺人がらみの壮絶な物語に観衆は過去最大の盛り上がりを見せ、一瞬にして、100万、200万と投げ銭が積みあがっていく。遂に借金地獄から救われた桐山は鈴木への感謝の気持ちでいっぱいになったのだった。

「次のスピーカーは僕です」
隣から聞こえた大きな声とともに、警備室で不敵な笑みを浮かべる鈴木の顔が画面いっぱいに映し出される。

唖然とする桐山を横目に鈴木が語る、すべてを覆す「真相」とは――。

「#真相をお話しします」公式サイトより

公式結構しっかりあらすじ載せてる……!この文章を見れば大筋は理解できるだろう。

※以降は映画も原作もパンフレットの内容も含んだ、かなりネタバレもりもりの文章になるため、映画を少しでも気になっている方は必ず見てから読んでいただければと思う。

 

原作は「2022年にもっとも売れたミステリー小説」と名高い、累計20万部突破の人気作品。海外で翻訳版が出版されており、コミカライズもされている。わたしも映画を見たあと原作をKindleで読んでみた。映画と異なる部分が結構あって驚いた。そもそも原作は短編が5つ収められたオムニバス形式の小説なのだ。
特に原作と映画とで大きく異なるところは、原作ではオムニバスで収められている独立した短編を映画では「#真相をお話しします」という人気の配信チャンネルでランダムに選ばれたスピーカーが語る…という形をとっているところだ。この作りのおかげで、原作で5つ目に書かれている「#拡散希望」の登場人物たちを主軸に、短編同士がつながっている。

<原作5つの短編>
惨者面談:映画でスピーカー・カテキョによって「赤羽の主婦の事件」の真相として語られる。じっとりとした緊張感と殺人の恐怖が襲いかかる、映画の初っ端からショッキングな内容。
ヤリモク:映画でスピーカー・ミーコによって「マッチングアプリ殺人事件」の真相として語られる。実はミーコは殺人犯であるケントの娘で、この一連の殺人事件は、娘にパパ活を辞めてほしい父の狂った愛情が引き起こした事件だった。
パンドラ:映画では扱われていない。精子提供にまつわる話で、個人的にはかなりおもしろかった。
三角奸計:映画で風磨くん演じる桐山(=警備王)がスピーカーに選ばれ語られた話。大学時代に親友同士だった3人が久しぶりにリモート飲みをすることになったが、ひとりから「婚約者が浮気しているかもしれない」と話を切り出され…という展開。エリートサラリーマンだった桐山が借金持ちの警備員になった原因がこのエピソードで明かされる。友人2人の設定や、犯行までの流れが原作と映画では異なる箇所がいくつかある。
#拡散希望:大森さん演じる鈴木(=チョモ)が突然スピーカーとして語り出し、ストーリーのキーとなる、島で暮らす子どもたちの日常をコンテンツとした大人気YouTubeチャンネル「ふるはうす☆デイズ」の顛末を明かす。原作では独立している話だが、映画では視聴者も他のスピーカーも、誰もが知るかつての大人気チャンネル「ふるはうす☆デイズ」を通して、横串を刺したようにつながっている。鈴木と、配信チャンネル「#真相をお話しします」のMC・サテツ(岡山天音さん)と、冒頭に映る赤い服のヨガスタジオ経営者のルージュ(中条あやみさん)がかつて島で暮らしていた3人だ。島で生まれ育ったもうひとりの子ども、凛子が殺され、「ふるはうす☆デイズ」の異常性にチョモとサテツが気づいたことで、YouTubeチャンネルは閉鎖となる。

原作を読んでみると、「よくこれを1本の映画にしたなぁ…」と思うとともに、「#拡散希望」をうまく使って1本のストーリーにまとめあげていることに感心する。パンフレットを読むと、企画プロデュースの平野さんという方が、この構成を思いついたと語っている。

余談だが、「ふるはうす☆デイズ」内の子どもたちの動画の質感、お子さんがいらっしゃる方ならゾッとした部分が結構あるんじゃないだろうか。わたし自身は独身なのだが、地元の友人宅(お子さんがいる)へ遊びに行くとテレビでYouTubeを流しており、そのときに見たことのあるコンテンツの質感そのものだったからだ。かなり人気の高いチャンネルもあるようで、まさに小中学生くらいの子どもが、ハロウィンの仮装をしたり、キャンプや遊園地へ行く様子を撮っていたりと、そこのリアリティさにはなんともいえない気持ちになった。子どもがいる友人の家へ遊びに行っていなかったらまったく縁のないコンテンツだったのに不思議なものだ。

 

この映画の主題は?と問われたら、わたしを含め多くの人が、「SNSの使い方について考えさせられる」といったことを答えるのではないだろうか。普段匿名を隠れ蓑にSNSで誰かを攻撃したり、他人事のようにコンテンツを消費したりしているが、その先には自分と同じ生身の人間がいる。自分のGood・Badや書き込んだコメントがどのような影響を与えるかなんて深く考えていない。だが、映画を見てそのあり方を見直すきっかけになった、と………。
ただ、それだけではないとも思う。そんな綺麗なだけの話ではないし、そうやってまとめてしまうには各話がグロいのだ。本当の意味でのグロ、ではない。人間のおぞましさを嫌というほど感じてしまう。ままならなさ、憤り、虚しさ、時に承認欲求、そんな人生で否が応でも遭遇するドロドロとした目を逸らしておきたいものをまざまざと見せつけられている。
それをこちらに突きつけてくるのは、大森さん演じる鈴木だ。大森さんは演技経験がほとんどなく、映画の出演も主演も初めて。それでこの出来というのだから、一体いくつスキルを持っているのかと恐ろしくなる。鈴木が放つ、独特の空気感。人懐っこいように見えて、どこかじっとりと暗い。他者を信じていない、食えない男。余命宣告をされてから計画をした復讐劇も本当の目的は大衆の断罪だったのではないかと思う。
そして風磨くん演じる桐山は、不運な経緯から見る者の同情をかい、感情移入の相手でもあるのだが、配信視聴の際に書き込んでいたアンチコメントのような内容に「ああ…結局こいつも…」となんだが虚無に襲われる。鈴木にルージュを殺すなと言い制止したのと同じ口で、ルージュを殺すことを選択する。人間の選択の矛盾。我が身可愛さの掌返し。こちらにそんなものを突きつけないでくれと頭を掻き毟りたくなる。

 

わたしは友人とこの映画を見終えて、「うーん……なんか、モヤッとした」と言ったと思う。いろいろ気になった。一方、友人は「よかったけど」と言いつつ、「でも2回目はいいかな」とも言っていた。が、その舌の根も乾かぬうちに実は5/5もう1回見ようとふたりで決めた。ふたりともに原作をすぐに読み、こーでもないあーでもないとLINEを交わした。こんなこと今まで一度もなかったと思う。
特にわたしが話したのは、“リアリティがあるのに、ところどころ全然リアルじゃない”という点。この映画がすごく気持ち悪いと感じた部分だった。原作を読んだらそれほど気にならなかった箇所もあったので(原作の設定そのままでも)映画という映像で見たとき特有の違和感なのだとは思う。特に気になったのは次の3点。

まずは、「惨者面談」で、空き巣に入ったのが小学6年生の近所の男の子である点*3現代日本、しかも私立の学校に行くような子がいる首都圏のエリアで、小学生男子が単独で空き巣を繰り返している現実感のなさったらなかった。気になったのでChatGPTに聞いてみたくらいだ。

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※上記のスクショは回答の一部分

また、原作では、カテキョは訪れた家にいる女が殺人犯だろうと気付いたあと、机の下に隠れて家庭教師の会社の社長にスマホで助けを求める。こちらのほうがかなりリアリティがあってよい。映画では命からがら家を抜け出して、近くの交番に助けを求めたことになっている。女とはいえ、殺人を犯して気が触れている年上の人間を相手に、しかも、110番を求める子どもを置いてそんな行動ができるだろうか。

次にマッチングアプリ殺人事件の話だが、こちらも恵比寿や自由が丘という大都会東京において、年齢も背格好も似た女性が6人も連続で殺されていて、しかも血痕も指紋も素人が拭き取っただけでは綺麗に消え去らないような殺し方をして捕まっていないというリアリティのなさが気になった。原作も同じ設定と流れではあるが…。原作では「前科もない俺が捜査線上に上がることはない」となっていた。果たしてそういうものなのだろうか?深夜近くとはいえ、普通に道も歩いている。監視カメラがある道を通ったこともあっただろうし、何より付近を聞き込みしているであろう警察が、ひとつも証言をあげられていないこともおかしい。アプリの利用歴から辿られる可能性だって十分ある。

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※上記のスクショは回答の一部分

さらに、この話は娘にパパ活を辞めてほしい父(ケント)が思いついた蛮行、というていだが、原作ではケントが本当に若い女性をお持ち帰りしてセックスに持ち込もうとしている様子が伺えて違和感が強かった。確実に家やホテルに向かうための言動なのかもしれないが…なんだかそれ故に唐突に殺人に及ぶ猟奇さにリアリティを感じられなかった。ミステリー小説のサイコパスのような特性を持つ犯人にしては、詰めの甘さや思考の幼稚さがあったせいかもしれない。

さて、最後に、「ルージュは本当に凛子を殺した(崖から突き落とした)犯人だったのか?」という点だ。
これは実はパンフを読むと明確なのだが、映画だけではあくまで疑惑に過ぎない描かれ方をしていたと思う。最後に殺すか生かすかの判断を視聴者に委ねる形になったため、ルージュが結果どうなったかもわからない。
また、「ふるはうす☆デイズ」を運営していた彼らの親に対して何もお咎めの描写がなかったのが納得いかなかった*4。隠しカメラを見つけて、叩きつけるシーンまであったのに。それと映画では明かされていなかった(と思うが)チョモの親はいわゆる昔で言うDQN親だというのがパンフレットを見るとよく分かる。教育熱心なママなんかではない。大学時代ヤリサー(テニサー)に所属しており、3人の子どもたちの両親はそこで知り合っている。大学4年生でチョモを妊娠してしまい、お金欲しさにYouTubeを始めたのがきっかけと書いてある。チョモの両親は離婚しているとも。なお、チョモもサテツも「ふるはうす☆デイズ」の真相を知ったあと親とは縁を切っているそうだ。とはいえ、当時小6?中1?の彼らがすぐそんなことはできないだろうし…というか親の一連の行動は、何らかの法律に引っかかっているのではとも思うが、実の親子だと特にお咎めはないもんだろうか。

これは主観がかなり入るのでモヤっとした点の番外編みたいなものだが、あらゆる個人情報を晒され口座残高まで失ってしまったスピーカーは、果たしてそこまでやられなければならない存在だっただろうか?ランダムで選ばれ、視聴者におもしろおかしく真相を語る、投げ銭を得たのはその対価だ。そんな役割を与えたのは、他でもない配信を主導するサテツ(やチョモ)だ。
もちろんこれはかつて「ふるはうす☆デイズ」を子どもたちの隠し撮りコンテンツと知りながら、なんの痛手もない第三者という立ち位置で楽しんでいた聴衆(実際当時のチャンネル登録者どうかは置いておいて)への見せしめでもあっただろう。おそらく鈴木が復讐をしたい相手は、ルージュだけではなかった。それをわかっていてもなんとなく腑に落ちない部分があった。
これらがあえて取り込んでいたという“違和感”の要素だったのかはわからないが、さきほど述べた通り、リアルな世界の話なのに、リアリティのなさがわだかまりとして残った。なんなら数日経った今でも残っている。

序盤ややテンポが悪いなと感じたのだが、物語の終盤には引き込まれた。3人目のスピーカーであった桐山を他人以上の存在(友だちと言っていいかはわからない)と認め、個人情報の開示をしなかった…かと思いきや、そのあとむごい選択を迫る鈴木。彼の本心はどこにあったのか。復讐劇ならば自分の手でルージュに制裁を下せば良い。しかし「本当はどうしたかったのか」が解決しないまま、スクリーンの前にいる傍観者である我々に鈴木は涙ながらに問う。「あなたはルージュを殺すか、自分の個人情報を開示するか、どちらを選ぶか」と。あのときの大森さんの目が忘れられない。

 

衝撃的な締めに続く、Mrs. GREEN APPLEの『天国』。さきほどまで鈴木を怪演していた大森さんの歌声が劇場に響き渡る。いつもの(大衆が認知している)ミセスではないことは、その歌い方や歌詞を聞けばすぐわかる。映画の余韻なんていう生易しいものではない。ブツッと事切れるように終わる曲にハッとして「そうだ、映画を見ていたんだ…」と現実に戻される。予告で使われていたため何度も聞いていた、「抱きしめてしまったら もう最期」のフレーズと、フルで聞いたときの印象はだいぶ違ったものがあった。これは映画館でぜひ聴いてほしい一曲だ。
パンフレットには映画バージョンとして歌詞が掲載されている。また、大森さんは映画と『天国』について、以下のように語っている。(一部抜粋)

僕はこの映画は“SNS時代に一石を投じる”という、それだけの簡単な映画ではないと思っています。人間の素晴らしさ、醜さを描くとなると昨今はどうしてもSNSと切り離せなかっただけという。だから、人の心の動きを特に大切にして「美しさと醜さ」「禍々しさと浄化」、そういう“両極”のものが共存する楽曲を作りたいというところから着手していきました。

鈴木というキャラクターを監督と“狂った凪”と表現していたという。物語の登場人物だけでなく、わたしたちもその両面を携えて今を生きている。
この世界に絶望しているのに、春に咲く桜を美しいと思う、朝が来なければいいのにと思うのに、沈む夕日を綺麗だと思う… 矛盾こそが人間であることの証明なのかもしれない。

 

4/28(月)のCDTVライブライブで初披露された『天国』。
想像していた何倍も、何百倍も、この曲を全身全霊かけて表現するアーティスト・大森元貴に圧倒された。歌唱であり魂の叫びであり、慟哭のような訴えかけに心臓を一突きされ、激情が流れ込んできた。

--- 5/18追記ここから ---

CDTVライブライブの映像はTVerでの視聴期間も終了してしまったが、期間限定で公式が歌唱部分をアップしてくれている。

youtu.be

また、NHKのミセス10周年特番でサプライズ*5パフォーマンスされた動画も公開されている。ふたつの『天国』の違いもかなり味わい深い。

--- 5/18追記ここまで ---

Xでも書いたが、ここ最近バラエティやら朝の情報番組やらで風磨くんと番宣でキャッキャ(表現)する姿ばかり見ていたので、渾身のステージにだいぶ食らってしまって、しばらく放心していた。映画を見ていない人や、普段なんとなくミセスの曲いいよね~と聞いている層にどのように映ったのかわからないが、間違いなくあの歌唱は「#真相をお話しします」で主演と主題歌を務め、映画そして、ミセスというグループそのものすべてを背負った状態でわたしたち視聴者に真正面からぶつけてきた芸術作品だった。「どうしても どうしても 貴方の事が許せない」と歌った彼の視線に磔(はりつけ)にされたような気持ちになり、手元に持っていたスマホを取り落としそうになった。「茶の間にいる傍観者のおまえらは、今、何を感じてる?」と言われたようで、テレビ画面越しに見ただけのその4分あまりのステージに震え上がった。
在宅勤務にしていたのでリアタイをしたし、録画もしたが、とてもじゃないが簡単には見返せない。2週前に『クスシキ』を軽やかに披露していたのと同じグループとはとうてい思えないような“異様な”空気に大森さんの、そして若井さん・藤澤さん、サポートメンバーの皆さんの本気を見た。大森さんが創り出す空気感に気圧されずやりきるというのは我々が思う以上に大変なのではないか。レコーディングのビハインドを見ていると、楽器ひとつひとつ、メロディーひとつひとつのディレクションを大森さんがおこなっている。「この人の頭の中はどうなっているんだ…」と思う。

大森さんも風磨くんも、まさにこのSNS時代に生きる、芸能界において成功を収めているひとりであり、同時に痛みを常々感じているひとりだろう。言葉を選ばず言うと、ファンも多いがアンチも多い。難癖をつけられ、いじられ、芸能人だからという度を超えた言葉を投げつけられることも少なくないと推察する。飄々としていて、「へこまない」と言う様子も見られたが、彼らだって人間だ。しかもまだ年若い。当然ふたりともわたしよりずっと年下だし、達観しているように見えたり人生2周目に見えたって、まだ30年あまり生きただけの人間に違いはない。
そんなふたりが「#真相をお話しします」を通して伝えたかったことは、この瞬間も何の罪悪もなく、“匿名で指1本で殴ってくる”人たちに届くだろうか。「本気にすんなよ~」「冗談じゃん」そう言って嘲笑う外野たちに、ふたりの覚悟は届くだろうか。

「#真相をお話しします」のプロモーションの巧みさと、それに大森さんが携わっていた話についても語りたい部分はあったが、ともかくこの数カ月間とても楽しみにしていた映画の公開日を迎え、なんだか少し寂しい気持ちもある。これほど前からさまざまなコンテンツを消化しながら、今か今かと心待ちにしていた映画は初めてだった。パンフレットを買い、映画館の売店ではコラボポップコーンを買い、ポプストではグッズを買い…と自分にしては珍しい行動ばかりだった。
どうか“大ヒット”となり、少しでも多くの人にこの映画が届くことを願いながら、雑記を締めくくろうと思う。

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--- 5/18追記ここから ---

大森さんが以前「プロモーションでは(真相というネタバレ厳禁のストーリーの性質上)深く突っ込んだ話ができなかったので、語れる場を用意してもらった」と言っていたもののアウトプットであろう記事が公開されていたのでリンクしておく。

press.moviewalker.jp

*1:なかなかに愛らしいキャラクター性がある方で3人の絡みを楽しみにしている節もあった。

*2:Xで考察している方がたくさんいらっしゃるのでそちらをぜひ

*3:これは原作ママなので映画の脚本がどうこうという話ではない。

*4:ちなみにコミカライズでは反撃っぽいワンシーンが描かれている。

*5:あらかじめ特番のセトリが公開されていたのだが、その中に『天国』と『クスシキ』が含まれておらず、BS放送でも放送がなかったので、地上波放送で明らかになった。