2023年9月30日(土)は、SHINeeの約5年ぶりとなる日本アリーナツアー「SHINee WORLD VI [PERFECT ILLUMINATION]」の初日だった。コロナ禍にSHINeeを知り、日本FCに入った新米シャヲルであるわたしにとって、初めてのSHINee単独公演。
わたしが説明するまでもないが、SHINeeはSMエンターテインメント所属のグループで、デビューは2008年、今年で活動歴15年を迎え、末っ子のテミンさんが2023年4月に除隊したことで、メンバー全員が兵役を終え再始動した。K-POPアイドルグループの中では“第2世代”と呼ばれるベテランだ。
普段わたしがメインで応援しているのは、第4世代のグループ。彼らとわたしは年齢が10以上離れているが、SHINeeのメンバーは(おこがましくも)ほぼ同世代である。だからこそSHINeeのステージを目の当たりにすると、自分もまだ何か成し遂げられるのではないかと奮い立たずにはいられない。
毎度ながら詳細なレポはX(旧Twitter)で皆さん上げてくださっているので、ここでは初めてSHINeeの生のステージを見た気持ちなどを書き留めておこうと思う。なお、楽曲や演出のネタバレが含まれるためご注意願う。
17時半ごろ、会場であるたまアリに到着。改札を出て入場口へ向かう際、思ったより混雑しておらず…というか殺伐としていない空気感にファンダムの傾向はこんなところにも出るのかと驚いた。(他グルで開演30分前はこのあたりはごった返していて身動きを取るのも難しいのが恒例で、治安の悪いファンダムだとそれはもう殺伐としているため。ファンの年齢層の差もあるだろう)モニターを撮ろうとして、あたりがすでに薄暗くなり始めていることに気づき、秋の訪れを感じた。
トレカと撮りたかったのに暗かった😂(写真は編集でかなり明るくしたがこれ)
開演予定時間は18時。5分ほど過ぎてもまだ始まる様子はなかった。公演前日、YouTubeで公開したコンテンツに一部不適切な内容があったと海外ファンからの批判を受け、メンバー2人が謝罪するという出来事があったため、少しだけ緊張した気持ちで待っていた。
座席は400レベル7列目の下手側。ちょうどセンターステージの真横あたりの位置だった。FCの一次先行でもアプグレでないチケットの場合、400レベルを割り当てられた人も多かったようなので会場のほとんどがFC会員で埋まっていたのだろう。アリーナからスタンドの上までびっしりとパールアクアグリーンのペンライトが輝いていた。もちろん持っていない方もいたとは思うが、脅威のペンライト率だなと感心した。
10分を過ぎたころだっただろうか。SHINeeの音楽をBGMに前方のモニターに映像が流れ出し歓声が上がった。おそらく過去のライブ映像などを混ぜながら流れる楽しげな映像に一部ザザッと乱れる演出が何度か入って、最後には砂嵐になり、客電が落ち大歓声に包まれた。初めてのSHINee、ツアーの初日、この高揚感は何度味わっても心が高鳴る。
メインステージの上空にシルエットが現れ、よく見るとUFO(を模したゴンドラのような乗り物)に乗っている3人が姿を表し思わず「わぁああ……!」と声が漏れた。センターステージに伸びる花道のかなり上のほうを移動しながら見えた3人は、2021年4月のBeyond LIVEを思い出させるキラキラとたくさんの装飾がついた王子様のような淡いブルーの衣装を身にまとっていた。
SHINee WORLD VI - PERFECT ILLUMINATION in SAITAMA, JAPAN
— SHINee (@SHINee) 2023年10月1日
Day1🩵#SHINee #샤이니#샤이니 #SHINee #SHINeeWORLD_VI #PERFECT_ILLUMINATION #퍼펙트_일루미네이션 pic.twitter.com/4R0jMJr6GQ
結構高いなぁと見ていたのだが、あとのMCでキーさんが「UFO乗ってるとき高いから絶対静かにしてるって3人で約束したのに!(テミンが)はーい!とか手を大きく上げて揺らすから怖かった!」と訴えていて可愛かった。笑
ミノさんは2022年のSMTOWNライブで、キーさんは同SMTOWNライブ、ソロコン、フェスと何度か生で見たことがあった(ちなみにオニュさんもSMTOWNライブに加えソロコンも一度見に行っている)が、テミンさんを見るのは初めてだった。想像以上に可愛いお顔と細身の体に「ホンモノだ!ホンモノのテミンさんだ!!」と内心大はしゃぎした。笑 何を隠そう(?)K-POP初心者のわたしがSM所属のアイドルを知ったのはSuperMのMステ出演を見てで、その中でもテミンさんに心惹かれたのがキッカケだったから、ようやくという気持ちが大きかった。
UFOが下降し3人がセンターステージに降り立った。肉眼では表情まで見るのは難しい距離だが、その姿はしっかりと捉えることができた。防振を覗こうかと思ったが、3人のパフォーマンスをこの目に焼き付けたいという気持ちと葛藤した。ここ最近どのグループのライブに行っても(Zeppなどは除いて)防振をずっと握っていたわたしがそのような気持ちになったのは久しぶりだったかもしれない。
このセンステの機構がなかなか面白くて、せり上がると十字の形になっていて、左右の高さが違う状態で上がったり下がったり、あと回転もしていた。床面もLEDライトがいろいろな色や模様で光っていて凝っていた。ドームでは近しいものを見たことがある(三代目のライブ)が、アリーナ会場ではほぼ初見だった気がする。アリーナ会場と言ってもたまアリは規模も設備的に見てもほぼドームみたいなもんだと思うが……。3人という少人数をいろんなセットや演出でより見ごたえのあるものにしていて(前提として3人でも十分素晴らしいというのはありつつ)随所に工夫を感じられた。
センステと言えば、終盤くらいに「2、3階の皆さんにも挨拶しましょう」と言ってくれてステージを上げてもらったあと、前方の端のほうまで気をつけながら歩いていったキーさんをミノさんが後ろから脅かしたシーンがあって。キーさんはマジでびっくりして振り返ってシャーって威嚇していたw 可愛かったな~笑 91年コンビ大好き。それに対して「ね?SHINeeって16歳でしょう?」(その前に「全員30代だけどSHINeeとして活動すると少年みたいな、16歳のころのような気持ちになる」という話があった)って言うテミンさんも最高だった😂
この挨拶しましょうもそうだが、センステのほうが使用頻度が高く、ステージのせり上がり回数も多くて、上のほうでも寂しくない構成の工夫が随所に見られた。何よりドームもやり慣れてる人たちだから上の客席への目線やお手振り等の気遣いも忘れず、誰も置いてきぼりにしなかったライブだった。これはマジで若手のグループの皆さん、一度勉強に来てほしいです………。
ついでにメインステージについても書いておくと、背面に格子状に組まれたスポットライトのような形のライトが並べられているだけで(たしかやろうと思えば中央もモニターとして映像を映せるはずだが使っていなかった気がする)ものすごくシンプルだなと思っていたら、キーさんが冒頭でこのツアー名称とともにコンセプトを説明してくれた。「“PERFECT ILLUMINATION”は、“輝く”を冠しているSHINeeがステージから光を届けるだけでなく、シャヲルのみんなのペンライトと一緒に輝く空間を作りたいという意味を込めてつけた」(ニュアンス)と聞いて大納得した。その言葉通りレーザーの演出がとても綺麗で印象的だった。メインのシンプルさとセンステのギミックの凝った感じとのコントラストがよく考えられているなと思った。
すでに順番をしっちゃかめっちゃかで書き綴っているが、セットリストをXにまとめてくださっている方がいらしたのでリンクさせていただく。
シャヲルさんの協力でセトリ完成しました!(たぶん大丈夫なはず!)
— mihö (@10060034) 2023年9月30日
DCMはサブスクの関係で韓国verになってます🐸#SHINee_WORLD_VI pic.twitter.com/1jWwbiz3gX
ソウルコンは行っていない(セトリも見ていなかった)のと、わたしにとっては初めてのSHINee単独の現場なので、先輩シャヲルさんたち的にはどうだったのかな?と気になって感想を検索してみたらかなり素敵なセトリだった模様……!ソウルコンをベースにしながらも日本向けを意識して一部変えてあったとのこと。わたしもずっと聞いてみたい・見てみたいと思っていた楽曲たちを耳と目にして本当に幸せだった。
今回も数日で詰め込み掛け声練習をした。『Dream Girl』を始め全部の曲を韓国語ver.で覚えていたため一瞬戸惑ったが、掛け声部分にそれほど違いのない曲はよかった。問題は『Don't Call Me』であるw 日本語歌詞が結構独特なのと普段韓国語ver.しか聞いていなかったので混乱した。今なにげに検索したら「そうだった、日本語歌詞はいしわたり淳治さんだった…!!」と思い出した。(Uta-Net参照)
でも3人が除隊し、テミンさんが入隊する前のあのグループ活動は、わたしが初めてリアルタイムで追ったSHINeeのカムバックでもあったので思い入れが強い。こうしてコロナを経てアルバムの楽曲をようやくライブで見れたことがとても嬉しかった。リパケの活動もあって、今思えば、当時活動13年を迎えたベテラングループが完全体であそこまでガッツリ活動してくれたのは奇跡に近かったんじゃないかと思う。タイトル曲『Atlantis』の爽快感が大好きで、掛け声をしながら謎にグッと来てしまったりした。
それにしても……当たり前のことを言うがSHINeeは本当に、純粋に、楽曲がよすぎて「た、楽しい~~~!!!」になってしまった。日本オリジナルでも好きな曲がこんなに多いのはSHINeeだけだ。(前提として楽曲数が多いとはいえ)そこに3人の最高パフォーマンスがあるわけだから幸せでないわけがない。
カムバ前の配信で穴が空くほど見た『Good Evening』、一度見たら忘れられないインパクト大のダンスと中毒性の高いメロディー『Everybody』、ディープハウスといえば必ず挙がる名曲でありリリース当時(2015年)K-POP界に新しい風を吹き込んだ『View』……書き出すとキリがないが、何度も繰り返し画面で見た好きな曲たちが目の前でパフォーマンスされるというのは言いようのない幸福感を得られる。これはコロナ禍前「ちょっと好きかも。今度ライブ行ってみよ~」とすぐに現場に駆けつける国内だけでオタクをしていたころには得られなかったものだ。
SHINeeはMCも本当に楽しくて、全編日本語で会話して、笑いまでかっさらっていくという凄まじい展開なのだが(韓国人3人でここまで会話できるってすごすぎて…)MC中にまさかのキーさんのソロ曲『Good&Great』を聞けた……!「キーさんソロ活動お疲れ様でした~」の流れで3人そろって踊っていたのが可愛かったし、嬉しすぎて飛び上がった。まさかSHINeeの公演でアカペラで聞けちゃうとは。
他にも日本語のバラード曲何曲か歌ってくれてとても贅沢な時間だった。随所で「昔こうだった」「懐かしかった」と話すシーンも多く、本当にSHINeeって日本での活動が濃いグループだったんだと改めて感じた。いくら歴が長くても、あれだけ思い出話が出てくるかな?と思うし、それらを覚えてくれていることも純粋にすごい。
『The Feeling』のMV撮影で沖縄に来たときのエピソードなども本当に楽しそうに話してくれて、思い出し笑いでなかなか進まないくらいだった。子どものようにプールではしゃいだと言うみんなの様子をぜひ見てみたい。こうやって思い出を増やしながら、ファンと共有しながら、ここまで活動を続けてくれたグループなんだなぁと噛み締めた。
新規ファンがここに触れるかどうか迷ったが、『1of1』について少しだけ残しておきたい。衣装チェンジのためのVCRで流れた『1of1』。そのときの映像が5人のシルエットが歌って踊っているようなアニメーションで、たまアリにオニュさんとジョンヒョンさんも含めた5人の歌声が響き渡った。バラードでもないし、悲しい曲でもない。どちらかと言えばリズミカルで乗れるおしゃれな曲だ。それでも5人の歌声がこんなふうに聞けるというのは想像もしていなかったことで、周囲にはハンカチやタオルを取り出して泣いている人も少なからずいた。新米の自分すら涙が出そうになった。5人と先輩シャヲルさんたちが過ごしてきた時間、乗り越えてきたもの、そういうものに思いを馳せた。
アニメーションは非常によく作り込まれていて、まるで本当に彼らが踊りながら歌っているときのような動きをしていた。過去映像でしか5人のパフォーマンスを見たことがないわたしでも感激するくらいに。そして改めて感じた、ジョンヒョンさんという素晴らしいボーカリストの唯一無二の歌声、柔らかい中にも芯のあるオニュさんの一度耳にしたら忘れられない歌声、それらのない中で不在を感じさせないほどSHINeeの楽曲をしっかりと披露している3人。
この先ファンを続けたとしても、わたしはジョンヒョンさんの歌声を生で聞くことは決して叶わない。けれど新米シャヲルは想像せずにはいられなかった。「5人のSHINeeはどんなステージをするのかな」と。
もう1曲触れておきたいのは『Diamond Sky』。これはわたしが説明するまでもなく、先輩シャヲルさんたちにとって大切な曲だと思うが、わたしにとってはまた別の意味を持つ。SHINeeにハマりたてのころ、Twitterで仲良くしてくださっていた方が歴の長いシャヲルさんで、そのときにおすすめしていただいた曲なのだ。そのときにこの曲がどんな意味を持つか調べた。ずっとあとになってファンになった自分がSHINeeをより深く知るキッカケとなった曲。なにより綺麗で切ないメロディーが大好きで、それをライブで聞けてよかったと思った。ステージ上でこの曲を大切そうに歌う3人の姿が忘れられない。
序盤で上方のファンに対する気遣いについて書いたが、トロッコを本編で1周、アンコールで1周して、しかもかなりゆっくりじっくり周っていてアリーナ後方へも気遣いが感じられた。このときすごいなと思ったのが、最初白一色だったペンライトが、トロッコが通ったら虹色になるよう制御されていたことだ。上から見ているとその光の移り変わりが本当に綺麗で、ただの演出だと言えばそうだが、こういった細かい工夫が作り手側のこだわりや愛情が見えた気がして好きだった。
登場時点で「ついに今SHINeeを見てるのか」と胸がいっぱいになったライブ。みんな兵役から帰ってきて、30代でこんなにパワフルで歌もダンスも魅力しかなくて、ファンをめいっぱい楽しませようと会場全体に気を配ってくれて、MCも全部日本語で頑張ってくれて……SHINeeってこんなに素敵なライブを作れるんだとオンラインで見ていたより何倍も何十倍も感じることができた。
テミンさんは、踊ってるときの動きが動画で見るよりもっと滑らか(と素人には表現するしかできない)で、振りをやってるっていうより、息を吐くようにそういう動きをしてる…みたいな、生まれながらにダンスをやることが決まっていた人のように見えた。それなのに歌もめちゃくちゃうまくて、そりゃわたしがスパMで初めてテミンさんを見たとき「え?ボーカルの人じゃないの?メインダンサー!?」と思ったわけだ。
ミノさんは、生で見たときのエネルギーが本当にすごくて、まさに“炎のカリスマ”だなと思った。ミノさんのパワフルさは他の2人の雰囲気とはまったく異なるので、ステージ上でセンターに来ると迫力がある。そして本当にファン思いで、ファンを楽しませようという気持ちが溢れている人だった。
キーさんは、ソロで何度か見ているのに、SHINeeのキーさんはまた違った人物に思えた。Beyond LIVEで初めてキーさんのチッケム見たとき、「この人すごい……!!!」って思って以来虜になってしまったけど、相変わらずステージでの表情管理がマジでエグい。一瞬も見逃せない。「欲しいと思ったタイミングで、欲しい表情をバッチリカメラにくれる人」と書いていた方がいてものすごく頷いた。SHINeeのときだとより表情が柔らかいというか…モニターに抜かれていないようなちょっとしたところでも笑顔がキラッキラで、SHINeeでライブやれるの楽しいのかなって(勝手に)思えて、見てて幸せな気持ちになった。
SHINeeのライブは不思議な魅力に満ちていた。ここまで何度も書いてきた通り、オニュさんが休止中である今、SHINeeは3人だ。昨今10名弱のグループも多いK-POPボーイズグループにおいて、3人はかなりの少人数なのに、上でも書いた通り「3人でここまで見せられるステージができるのか……」と毎瞬間思わずにはいられなかった。ダンサーさんたちの力ももちろんあるが、彼らはステージ上で今の(3人の)自分たちをどう見せると魅力的なのかを知り尽くしていた。この1、2年国内外そこそこK-POPアイドルの現場に足を運んだが、SHINeeは他のどのグループとも異なる。あえて言葉にするなら、ど真ん中ストレートにアイドルとしての魅力が詰まっていた。それは彼らの歌やダンスの飛び抜けたスキルと、それを支える努力と基礎があるからなのだが、これはこれだけ長く活動を続けてきたグループにしか出せないものだ。
SHINeeのメンバーは常に新しい姿を更新し、それをファンに披露して、新鮮な驚きや感動を与えてくれる。同時に長いあいだファンでいてくれるシャヲルさんたちとの思い出を振り返りながら進んでいく人たちなのだなと改めて感じた。オンラインでのライブやイベントを見ても感じていたが、それを現場で生で体感すると一層確信した。これまでの思い出に新規ファンである自分は含まれていないけれど、さまざまなことを経てこうして続いてきたSHINeeとSHINee WORLDの皆さんの想いをひしひしと感じられたこともこの公演に行ってよかったことのひとつだと思う。そしてようやく自分もひとつ彼らとの思い出を刻むことができた。
10月1日の公演では来年2月の東京ドーム公演が発表されたそうだ。彼らが東京ドームでどんな姿を見せてくれるのか、ぜひとも見に行きたいと思う。(当たりますように〜🙏)