The same Rainbow

LOVE DREAM HAPPINESS を追いかけて

【メモ】ファンダムの外から見えていた、あるひとりのアイドルの輝き

※この記事は、ムンビンくんのことについて、AROHA(ASTROのファンネーム)ではない、ただのK-POPファンが書いたものです。
※グループのファンの方とはまったく感じる気持ちが異なると思います。また、こういったタイミングで初めて彼のことを語るなというお言葉もごもっともです。それでも数日経っても整理のつかない気持ちを少しだけ文章で残しておくことを許していただければと思います。
※振り返りながらいくつかパフォーマンス動画や写真を載せています。

 

「あ、ASTROが出てるんだ」そう言って、K-POPのフェスや音楽番組を少し手を止めて眺めることがあった。好きか、嫌いか、気にも留めないか、もしアーティストをそのいずれかに当てはめるとしたら、わたしにとってASTROは“好き”にあたるグループだ。出演していたら好ましいと思うし、映っていたら嬉しいし、楽曲が流れたらつい聞いてしまう。過去公開されたサスペンス風味なWebドラマも楽しく見た。
でもFCに入っているわけでもないし、2020年にK-POPを初めて知ったわたしは、オフラインのコンサートやイベントでリアルな彼らの姿を見たことはない。この週末、横浜で開催予定だったフェスも、わたしがチケットを取っていたのは土曜日で、ムンビンくんとサナくんが出演予定だった日曜日とは違う公演だった。

わたしがK-POPを知った2020年はコロナ禍初期で、在宅勤務がスタートしたのをいいことに6月ごろから随分長いあいだ韓国の音楽番組をリアルタイムで見てきた。水曜の「SHOW CHAMPION」(通称ショーチャン)では、ムンビンくんとサナくん、そしてVERIVERYのカンミンくんがMCを務めていた。他の音楽番組は男女のペアもしくはトリオの組み合わせなので、男性アイドル3人というのはなんだか新鮮だった。グループが違うのに、ムンビンくんとサナくんは、カンミンくんをグループのマンネみたいに可愛がっていた。おそらくそれ以降の3人がMCを務めるほとんどすべての回をリアルタイムで見ていたと思う。だからMCが卒業になったときとても寂しかった。

ムンビンくんはステージでは、筋肉セクシーお兄さんのイメージで、高身長とたくましい肉体でパワフルさを持ちながら、サナくんとのユニットでは繊細な表現も披露していて魅力が豊富な人だなと感じた。
記憶に残るステージは多いが、まず思い出されるのは、ショーチャンMCでの3人のスペシャルステージ。美しい白い衣装とロングコートがとてつもなく似合っていた。

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そして発表時本当に?嘘じゃない?と界隈がざわついた、2020年末のこの4人でのコラボステージ。真っ赤な衣装を着てGOT7の『Hard Carry』をカバーした。強烈なインパクトのある年末歌謡祭ならではのスペシャルステージだった。

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何より忘れられないのは、2021年末のMBC歌謡大祭典の98年生まれ(寅年)のコラボステージ。大好きなSuperMの『Tiger Inside』のカバーで、迫力…というより気迫といったほうがいいくらいの締まったパフォーマンスだった。本家がアベンジャーズチームなので、SuperMのカバーは難しい。しかしとても見応えがあり、ステージ動画もチッケムも何度も見た。

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ただ、ムンビンくんのチッケムでは体調不良に苦しむ姿が映っており心配の声も多かった。このときコラボメンバーだったStray Kids のリノくんもおそらくそれほど体調がよくなかったようで、お互い気にかけ、慰めているようなシーンも見られた。
年末のアイドルは凄まじく忙しいと聞いてはいたが、カメラの前では完璧なパフォーマンスを披露しながら、一瞬後には苦痛に顔を歪めているのが衝撃的で心が抉られるような思いだった。

直近(と思っていたが2022年6月)では、やはり妹のスアちゃん(Billlie所属)とのコラボステージだろう。ムンビンくんがどれほど妹思いのお兄ちゃんだったかは、多数エピソードがあるのでここでは割愛するが、リアルタイムでこのステージを見ながらなんだかとても幸せな気持ちになったことを覚えている。

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にわかながらわたしはTwitterK-POPファンアカウントで「ASTRO」「ムンビンくん」「タンコン」(ムンビンくんサナくんのコンビ名)などのワードが入ったツイートを1つ、2つではなく思ったよりたくさんしていた。from検索+ワード検索を組み合わせて遡ってみると、ムンビンくんとサナくんのカムバック活動のツイートが多かった。
1stミニアルバムのタイトル曲『Bad Idea』の楽曲とパフォーマンスはもちろん、ふたりの音楽番組での衣装は、他のアイドルのファンをも魅了した。音楽番組を見るのが楽しみだった。ふたりはパフォーマンスでは非常に大人っぽくセクシーな雰囲気を醸し出すのに、トークになるとはにかんだり時にはちょっとふざけたりじゃれあったり、とても可愛らしい面もあった。

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あるときふとムンビンくんのことをGoogleで検索したことがあった。過去に活動休止をしていたことを知った。たくましい肉体を持ちながら、繊細な面もあるのだなと思い、もっと調べてみるとASTROがグループとしての活動を思うようにできない時期があり非常に苦労していたことも知った。その最中なのか、あとに開催されたのか、分からなかったが公演のMCのシーンを偶然TikTokかなにかで見かけたことがあって、「アイドルとしてファンに辛そうな部分や泣いている姿は見せず、完璧にやり遂げたい」といったことをムンビンくんが話していた。
彼はプロ意識と責任感が強く、周りがどう言おうとも、自分の信念を貫き通したい人だったのかもしれない。VLIVEなどの配信や公式コンテンツもほとんど見たことがない人間でもそう感じるほど、彼はアイドルという仕事に真正面から真剣に向き合っている人だったように思う。
自分には厳しいのに、人にはとても優しい人だったようだ。スタッフさんにも礼儀があり、相手を重んじる人だったと流れてきたツイートが目に留まって読みながら、こういう人ほど早く星になってしまうのは何故なのだろうかと悔しい気持ちも湧いてきた。
多くのファンの方が、急遽韓国へ飛び、手紙やお花を事務所前へ届けたという情報もたくさん見た。わたしのように普段は別のグループのファンダムにいる人々もムンビンくんのことを思い浮かべ、突然の別れになかなか心がついていかなかった。
4月20日の午前1時くらいだっただろうか。突然目に入った情報を信じることができず、結局2時半ごろに事務所から出た公式文書を読んで本当のことなんだなと理解はした。なかなか寝付けずTwitterを眺めて過ごした。数時間睡眠し、ちょうどオフィスへ出勤する日だったので電車に乗り会社へ行き、仕事をして帰ってきた。わたしの生活はいつも通りだった。いつも通りだったのに気持ちはどこか空虚だった。
AROHAでもないわたしのこの気持ちは、誰かと共感するには何かが足りないだろうし、辛い悲しいと言える立場でもない。でもずっと内側で寂しい気持ちがくすぶっているような感覚だけは残っていた。

SHINeeのメンバーたちが、バブルやインスタを通じて、ムンビンくんのことに触れていたことも記憶に深く刻まれた。
12時ごろ、キーさんからバブルの通知があった。キーさんもすでにそのことを知っていて、シャヲルに気持ちを伝えてくれた。(わたしはキーさんしかバブルを取っていないがオニュさんもバブルを送ってくれていたらしい。テミンさんはストーリーズに投稿していた)キーさんのバブルによると、ムンビンくんとはそれほど親交があったわけではなかったようだ。しかしそのあとキーさんはムンビンくんのインスタの投稿にもコメントを残していた。
2020年以降にSHINeeのファンになったわたしには知ることのできない出来事。SHINeeのメンバーは知っている、残された人たちの心がもとに戻ることがないことを。それでも生きていかなければならないことを。キーさんとテヨンさん(少女時代)が語った、「わたしたちはもう乗り越え方を知っている」に込められた想いをわたしは本当の意味で知ることはできない。

ムンビンくんは笑顔が素敵な人だ。目を細めて笑って、口元もキュッと引き上がって、とてもキュートな顔で笑っているところを画面越しに何度も見た。

ショーチャンのMCを卒業して毎週見ることはできなくなってしまったけど、カムバをすれば音楽番組も出るし、日本にも来て活動してくれるし、いつか生でパフォーマンスを見ることができるかなと思っていた。その“いつか”は来なくなってしまった。

先日まで放送していた、デビュー済のグループやソロアイドルが出演する「PEAK TIME」というサバイバル番組では、デビューしたものの思うように結果が出ず活動休止状態や解散に至っていたり、アルバイトをしながら活動をしていたり、すでにアイドルを辞め会社員として仕事をしながらも何年経ってもアイドルとしての夢を諦めきれずに再集結したというグループもいた。審査員の言葉に「人は気楽に“売れなかった”と言う。でも彼らの人生はこれからです」というものがあった。
過去も何度かこのブログで書いているが、アイドルという仕事に就いた人がスポットライトを浴びるのは、10代から長くても30代までのような印象を受ける。もちろん例外もたくさんいらっしゃるし、一概には言えない。しかし売れなければもっと短いうちに解散し、売れてもあまりにも多忙なスケジュールで心身が疲弊し、先が見えないことも他の職業より多い気がする。
だから「辞めても逃げ出してもいいから生きていて欲しい」と伝えたい反面、アイドルという仕事を誇りを持って全うしてきた彼ら・彼女らが、アイドルを辞めたあとまだ先の長い人生をどうやって生きていくのだろうか、わたしたちは直接支えることはできないのに、逃げたっていいんだよとどうして言えるのだろうかと思い悩む部分もある。
そしてアイドルは…いや、人は、表層だけでは決して分からない内側の部分があることをまた思い知らされた。熱心なファンの方はもしかしたらどこかで予兆を感じていたのかもしれないが、そういう選択を彼がしたとは信じがたいと書いている方も多くお見かけした。パッと見て、笑顔の人が、順調に仕事をこなしている人が、どれだけ痛みを抱えているかなんて、他人には分からないことだらけだ。
同時に、学生さんだってただの会社員だって、日々さまざまなことを乗り越えながら生活している。アイドルとは比べ物にならないが、どんな仕事にだってプレッシャーやストレスはあるし、それらをうまくコントロールしながら生きていかなければならない。わたしたちがアイドルに直接手を差し伸べられないように、アイドルもわたしたちの生活に直接は介入できない。仕事を今辞めたとして、明日食べるためのお金や雨風を凌ぐ場所を確保できるのは(社会人であれば)自分しかいない。

真偽は確認しようがないが、後追いした方もいると見かけて、そうか…そういう発想になる可能性もあるよなと思った。心の拠り所にしていたものが突然消えてしまったら、特に若い方だと生きていても仕方ないと思ってしまうかもしれない。「生きていたらいいことがあるよ」なんて30代半ばの自分が言えるわけがない。人生は苦しいことが多くある。でももし生き続けてみたら、もがき続けてみたら、「あのとき生きる選択をしてよかったな」と思える出来事に遭遇する可能性も十分にある。
わたしの母は仕事が原因で鬱病になったことがあり、命を絶とうと思ったことがあると後々話してくれた。心の病は完治が難しく、元通り生活できるようになった今も薬を飲み続けている。それでもあのとき母が生きる選択をしてくれて嬉しかった。

「ファンは無力だ」と思う。実際にそういったツイートもたくさん見た。アイドルから毎日励ましをもらい、希望をもらい、夢を見させてもらっているのに、しがないいちファンができることは限られている。CDを買ったりグッズを買ったりコンサートに行ったりしたとして、アイドルという仕事に向き合うのが辛くなった彼ら・彼女らに対してできることはないように思える。それでもファンがいないと、アイドルは成り立たないとも思う。ムンビンくんは、とてもファン思いだったと聞いた。だから彼の笑顔に、パフォーマンスに、言葉や姿そのものに魅了されて、応援していたその気持ちまで否定しなくてもいいと思いたい。

彼は今、穏やかな場所にいるだろうか。心も体も安らげているだろうか。AROHAさんたちはもちろん、ファンダム外のわたしのようなしがないK-POPファンにまで、愛されているということを嬉しいと感じてくれるだろうか。
ムンビンくん、お疲れさまでした。アイドルとして頑張ってくれて、ありがとう。たくさんカッコよくて可愛い姿を見せてくれて本当にありがとう。