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【雑記】「CLIO」から学ぶユーザーの心を掴むSNSマーケティング(2/2執筆・7/26追記)

2021/07/26追記:本記事の執筆は2/2であり、その時点でのCLIOのSNSマーケティングについて述べたものになります。一部公式サイト等から削除されている内容も含まれますが、CLIOのStray Kids起用にあたり当初のあたたかい対応を知っていただきたい気持ちがあり非公開にしていたものを再度公開しました。もし何らかの問題があればすぐに削除いたします。(追記ここまで)

 

Stray Kids(以下、スキズ)が新モデルに抜擢され、ここ数日STAY(スキズのファンの愛称)のあいだで話題沸騰の韓国のコスメブランド「CLIO」。

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CLIO公式Twitterより(上記写真が掲載されたツイートは削除されている)

2021年2月1日 午前9時を皮切りに次々と情報が解禁され、一日中Twitterに張り付いていた私のような方もいるのではないでしょうか。
まだ情報解禁からそう時間も経っていないのになぜこの記事を書こうと思ったか。私のTwitterを見てくださっている方はお気づきかと思いますが…

CLIO、SNSマーケティングがあまりにも見事。うまい、うますぎる。完敗です。

2月1日だけでいったいどれだけのプラス効果があったのか。私がSNS担当者だったら夏を待たず、春に追加でボーナスをくれと言いたくなるほどよい結果が出たのではないでしょうか。(もちろん、目標値が高い場合もあるので勝手な見解です)
ファンの心をくすぐる要素が随所に!随所に散りばめられ…!企業アカウントという扱いの難しい、ともすれば中の人でしゃばってウザいと言われたり、うっかり炎上したりというリスクもある、それをいとも巧みに使いこなし、STAYを完全に味方につけるその様をただぼんやり眺めていていいのか!?これは記録すべきでは!?と誰しもが興奮したことでしょう。

そこで今回は、しがないライター兼ちょっとだけコンテンツ企画や広報に携わっているアイドルオタクがCLIOの華麗なるSNS戦略を読み解いてみたいと思います。
なお、ここでは「中の人が強火STAYだ!」という可能性は一旦なしにして、企業がマーケティング・PR・広報をおこなう中で「CLIO…手練れだ……」と感じる部分にフォーカスして書きます。社内に相当優秀なマーケターかコンサルかがいるのか、はたまた長年の経験から来るものか分かりませんが、その片鱗を感じられるものを集めました。
ちなみに毎度ながら私は韓国語が分からないため一次情報をあたれないことが多く、翻訳されたものやTLを見てフォロワーさんの反応から拾わせていただいたものもあります。憶測も多分にあります。ただの趣味のブログのため、正しい情報ではない場合もありますので、そのあたりはご了承ください。

 

 

コスメブランド「CLIO」とは

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CLIO(クリオ) | 公式オンラインショップより

私はファッションや美容に疎く、CLIOを知らなかった人間なのですが(お恥ずかしながら…)フォロワーさんたちの反応を見るになかなか好感度の高いコスメブランドのようで、スキズの起用を喜ぶ人しか見当たりませんでした。
「現地に買いに行けなくて辛い…」と呟いている方もいて日本でも愛用者が多そう。楽天市場には公式通販ページもありますね。教えていただいた情報によると、日本でCLIOのファンデーションがとても人気になり、それがきっかけで国内でもよく見かけるようになったとか。
Qoo10(10代~30代の女性ユーザーが多い)でもCLIOは人気が高く、クッションファンデーションは常に上位にランクインしているようです。ほぉ~。

 

CLIOが新モデルにStray Kidsを抜擢した理由

ニュース記事が出ていましたので、抜粋させていただきます。

「CLIO」は、オンリーワンのパワフルなエネルギーを披露し、独歩的な活躍を見せる「Stray Kids」をモデルに起用し、国内はもとより、グローバルファンからの熱い反応に期待している。
国内だけでなくグローバルでしっかりとしたファンダムを構築する次世代K-POPの代表グループ「Stray Kids」。「CLIO」では、彼らだけの挑戦的で堂々とした魅力がCLIOの追求する方向性とマッチしていることでブランドモデルに選定した。

引用元:「Stray Kids」、韓国コスメブランド「CLIO」の新モデルに電撃抜てき!│韓国音楽K-POP│wowKora(ワウコリア)

K-POPアイドルながら、グローバルファンが多く、『神メニュー』から“麻辣味”と言われる“彼らだけにしかない魅力”を指す言葉を持つスキズ。彼らこそブランドの新しい顔に相応しいと考えたのでしょう。
昨今、男性がコスメブランドのモデルに起用されるのは珍しくはありませんが(現に上に画像を載せたキムウソクさんもそうですし)グループのメンバー8人全員起用というのはちょっとレアなケースかなとも思いますし、企業の新たな挑戦でもあるかもしれません。

 

SNSマーケティングとは

SNSの種類と使い分け

話は変わりますが、SNSマーケティングについて少し学んでおきましょう。

SNSマーケティングとは、人気SNSソーシャル・ネットワーキング・サービス)を通して消費者とコミュニケーションを行い、ブランド理解を促しファンを獲得したり、購買につなげていくデジタルマーケティング活動です。

引用元:SNSマーケティングとは?具体的な5つの手法と事例を徹底解説

企業活動、とりわけBtoC(一般消費者相手の商売)企業のマーケティングSNSを活用しないというのは考えられないほど、SNSはユーザー獲得の重要なツールになってきています。有名な企業アカウントもいくつか思い浮かぶでしょうし、炎上したりバズったりと話題になったアカウントもご存じの方も多いでしょう。
扱う商品やサービスにもよりますが、国内ではユーザーへの認知度を高めるためにもっとも有効なSNSTwitterです。日本人はTwitter大好きですからね!笑 私もSNS運用のサブ担当として「どうやったらTwitterでバズれるか……」なんてことを考えるときもあります。

Twitterとオタク(今回はアイドルファンとします)って相性がいいですよね。RTや引用RTでのシェアも簡単だし、会話もしやすい。自分のフォロワーさんとそうじゃないユーザーとの会話を見ることも容易で、どんどん話題が広がって移り変わって、でもそれを追うのもそこまで苦ではない。いいね数やRT数という指標も分かりやすい。最近はGoogleで調べるよりTwitter検索でなんでも調べたほうが情報が早いので重宝しているという人も多いそう。
もちろんメインターゲットやブランディングの方向性・目的によってはインスタを使ったほうがいい場合もあるでしょう。40代・50代のビジネスマンがターゲットであれば、Facebook、もしかしたら日経新聞に広告を掲出したほうがいいかもしれません。若年層相手にはTikTokが有効な場合もあります。
今回国内ユーザーの内訳だけ見てもあまり意味はないのですが、SNSによってこれだけ利用ユーザー層に違いがあります。ターゲットとするユーザーが多くいるSNSを使うのは基本中の基本です。

当然海外では事情が変わってきます。フォロワーさんに教えていただいたのですが、日本では若年層の利用ユーザーが少ないFacebookも韓国を含め世界ではまだまだ人気が高く、狙う市場によっても使い分けが必要になることが分かります。

参考:「韓国の最新SNS事情」【2020年版】~カカオトーク、BAND、Instagram~

こんな感じでSNSって似たように見えて、私たちはなんとなく使い分けをしていますよね。企業もこれを知っていて、「どういうコンテンツをどういうターゲットにどういうタイミングで公開するか」戦略を立てています。

 

SNSマーケティングの難しさ

Twitterの企業アカウントで「これ買ってください!」と言って「分かりました!」と大勢のユーザーが反応してくれて、実際に買ってくれたらこれ以上のことはありません。しかし現実は厳しい。ダイレクトマーケティングは嫌われますし(既にアカウントとしてキャラクターが確立されておりダイマが有効に働くケースもありますが)、買ってと言うだけでユーザー行動を促せるならマーケティングなんて要りません。
企業のSNSではおもに「企業認知を高める」「ファンの獲得」が重要で、そのさきに「購買ユーザーを増やす」「口コミで広げてもらう」があると思っています。サラッと書きましたが、どれも簡単ではありません。
まず企業の公式アカウントってフォローしますか?アイドルの公式じゃないですよ。商品や製品を売ってる企業の公式です。よっぽど好きなメーカーとかブランドとか、面白いとかためになるとかでもない限り自分から探してフォローなんてしませんよね。Twitterであれば、あるツイートがバズってて「おもしろいじゃん」と思ったとか、そういうキッカケがないと見つけてももらえない場合が多いんです。
逆に注目されたいと度を超えたことをして炎上するケースもあります。企業で一度炎上してしまうと信頼を回復するのは失う何百倍も労力が必要です。ブランドイメージを毀損するなど、内容によっては二度と回復できない場合も……。
偶発的ではなく、しかも燃えもせず、戦略的かつ効果的にSNSマーケティングをやるのは本当に大変です。 SNS専門のマーケターがいるくらいですからね。

CLIOで言えば、私みたいに存在を知らない・コスメにあまり興味もないユーザー(でも30代女性というのは多分ターゲット層ですよね)に知ってもらって購買まで繋げるのは至難の業です。また、お気に入りのブランドがあったり自分の肌に合ったコスメを使ったりしている人を自分のところのブランドに変えてもらうのもなかなか難しそうです。
それを実現する方法のひとつが「タレントの起用」です。

 

CLIOの華麗なるSNSマーケティング

予告からキラリと光るセンス

まず1月31日 午後8:00に、公式Twitterにこんなツイートが投稿されました。

ファン以外は「?」という感じかと思いますが、スキズファンにとって“羅針盤”(コンパス)は意味を持ちます。これに気づいたSTAYが「もしかしてCLIOとスキズが何か関係があるのでは…?もしやコラボ?」「この手、フィリックスのでは?」などとツイートしざわつく界隈。“ファンだからこそ分かる”情報を使ったうまい匂わせですよね。
しかもこの1月31日 午後8:00は、スキズがSeoul Music Awards(通称ソカデ)で自身初の本賞を受賞した直後というSTAYがもっともわいている(多くのSTAYがTwitterに集まっている)タイミングでした。私もお祝いツイートをしました。

これが計算されたものかどうか分かりません…と言いたいところですが、恐らく狙っていたと言わざるを得ない。それほどマーケティングのプロの技を感じます。
そして深夜0:00に以下のツイートが投稿されました。

STAYであれば1行目で分かる『Back Door』のワンフレーズ。そして2行目は

新しいクリオモデル
2月1日、午前9時に会いましょう。♥

映像はぼかされていますが、「スキズがCLIOのモデルだ!」と分かりました。
種明かしまで早かったようにも思いますが昨今のユーザーは受け取る情報が多く、あまり待たされても興味が移ってしまうため、8時に匂わせツイートで界隈が盛り上がり、その深夜に情報解禁をしたのはうまかったなと思っています。情報解禁が9時と明記されているのもよい点です。
で、これだけならまあ普通の告知ツイートですよね。CLIOがうまいのはこのあと。

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この絵文字、STAYはすぐに何を表しているか気づけます。さらにTMIにはこう書かれています。

動物は9つで表現するしかなく、
イタチの絵文字がいないですね。

STAYならくすっとしてしまう一文です。これはメンバーを表す絵文字です。ヒョンジンくんはいくつか絵文字がありますが、「イタチ」がないのでこう書かれてるんだとすぐ分かりました。そう、ここでも“ファンだからこそ気づく”仕掛けを取り入れてるんです。
些細なことに思えますか?でもこれをスキズと初めてコラボする企業が(無論、CLIO側だけがすべての企画をしているとは言い切れませんが)やってきたら「お、スキズのことちゃんと調べてるんだな」って思いますよね。出だしは上々、この時点でファンの心を掴みつつありました。

これ以降の内容を見ても分かりますが、CLIOはSTAYをメインターゲットにしてコンテンツ展開をしています。コスメの対象ユーザーはもっと広いですが、スキズ起用のSNSマーケティングの目的は「STAYをCLIOファンにして購買層とする」だと仮定して進めていきます。

 

Twitterをメインに複数のSNSを活用

2月1日 午前9:00。情報解禁が4つのSNSを通しておこなわれました。

Twitter

まずTwitter。ツイートを訳してみると…

はい!お客様!
関係者になりたくてバックドアを叩きました。

クリオの新しいモデル
Stray Kids!

これからもたくさんの関心をお願いします♥

今度は『神メニュー』と『Back Door』をうまく使ったツイート内容になっています。ビジュアルイメージの解禁にTwitterを使ったということになりますね。

 

Instagram

こちらもビジュアルイメージの解禁ですが、3投稿使ってインパクトのある投稿になっています。

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インスタはオシャレで洗練されたブランドイメージを作るのに向いているSNSです。このビジュアルもTwitterの可愛い感じと違ってクールな表情のスキズを持ってきています。
そして投稿文、3つとも同じかと思いきや少しずつ違います。しかもリノくん・ハンくんが写っている写真が投稿されているところの文章…

Stray Kidsが根本だよ!

この「根本」というのは少し前からメンバーたちの中で流行っている言葉で、VLIVEなどでも「○○が根本だよ!」と使っています。(もちろん韓国語ですが、発音が日本語と似てるので分かるときがある)まさかここまで押さえてるとは…抜かりない…。

 

TikTok

TikTokでは深夜に公開されたぼかされた動画の鮮明ver.が投稿され、ハンくんとフィリックスくんだと分かりました。

<2/28:リンク先削除により削除いたしました>

短い動画を投稿して若年層に広く届けるにはTikTokが最強です。もしかしたらSTAY以外も目にして、「カッコいいな、誰だろ」と思うかもしれませんし「CLIOのコスメ好き!こんなことやってるんだ」ともともとのコスメファンをスキズに流すこともあるかもしれません。
他のSNSと違って明確な目的を持って見る意識がやや低く、“なんとなく目にする”感覚でおすすめ動画を次々と見ていくTikTokを使ったアプローチがどう働くかは今後も注目です。

 

Facebook

一昨日くらいからスキズ公式がおもむろにFacebookのストーリーのような機能を使い始めたのですが、恐らくCLIOと関係あるのかなと思います。
CLIOのFacebookでは、Twitterとインスタにアップされたコンテンツがまとめて公開されています。正確な意図は分かりませんが、日本以外ではFacebookはまだまだ利用数が多いのと、他のSNSとかなり利用層が違いそうなのが理由かなと思っています。(Facebookだけの投稿もありますが…今後どうなるかな)

そしてちょっと気になったのは、Facebookの利用数が多い国のランキングです。

ユーザー数比較ではインドが世界一で2億7,000万人、2位以降はアメリカ1億9,000万人、インドネシア1億3,000万人、ブラジル1億2,000万人と続きます。

引用元:【2020年版】海外SNSランキング | 世界と日本のSNSユーザー数と普及率の違いを分析

これでピンと来た方は私のTwitterのフォロワーさんですね。笑 そうです、スキズ人気の高いアメリカと、最近K-POPがものすごい熱いインドネシアでの利用率がかなり高いんです。

 

ファンはもちろんアーティストの心も掴む

2月1日は情報解禁の日だったので、これだけでも十分なんですが、Twitterではかなり動きがありました。
まずは、今後の予定を公開。SPICY ver.の一次日程ということでまだ一部だということが分かります。先の予定が分かるのってわくわくもできるし、心構えもできるし、サプライズとはまた別のよさがありますよね。

それから「やられた…相当の手練れだ…!」と決定づけたのが以下の2つのツイートとFacebookの投稿。まずはツイートから見ましょうか。1つ目、これ午後2:48に投稿されたものです。

MBTIって知ってますか?性格診断のやつです。4つのアルファベットで表現されるんですが、たとえばINFJとか。あれ韓国だとアイドルほぼみんな受けてて、自分のを把握してたりするんですが、それになぞらえて「Stray KidsのMBTIがCLIOだって知ってますか?」と書いてあるわけです。
ここまで読んで「へぇ~」ってなるじゃないですか。このVLIVEをリアルタイムで見てたSTAYは驚愕したんですよ。14:16から始まった短い配信です。

www.vlive.tv

この中でCLIOのモデルに抜擢された話をメンバーがしていて、ヒョンジンくんがテンション高くこう話している部分があります。「Stray KidsのMBTIはCLIOです」と。そうです。この配信を見てすぐ上記のツイートをしたということになります。
それ以外にもこの配信では、撮影中にスキズの楽曲ではなくSKZ-PLAYERとSKZ-RECORD(メンバーがソロでカバー曲を歌ったり、自作曲を歌ったり、ダンスしたりとYouTubeとVLIVEだけで公開されるファン向けのコアなコンテンツ)を流してくださったとか、CLIOの新作アイシャドウの名称が「YOU CAN STAY」(スキズとSTAYにとっては特別な意味がある)だとか、スタジオに「根本」の文字も貼ってあったそう。
もうね、すごいのよ、同じ配信内で「ご飯が本当に美味しかった」「スタジオの雰囲気がすっごくよかった。過去最高だった」とも言ってますが、これ心から言ってるのが分かります。商品を買ってくれるユーザーだけじゃなくて、起用したアーティストの心もガッチリ掴んでるのが企業として最高of最高です。簡単には真似できません。

さらに撮影がすごくよい雰囲気だったことを裏付ける証拠がFacebookの投稿ともうひとつのツイートです。
まず、Facebookに投稿された、差し入れされたであろうケーキ。8つあります。メンバーに1つずつって、そんなこと普通あります?しかもひとつひとつに「Stray Kidsようこそ」と描いてあったそうです。

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CLIO 公式Facebookの投稿より

さきほどのツイートを見るとお菓子もたくさん用意されていたことが分かります。そして、2つ目のツイート。

なんて書いてあるかというと… 

ケーキと一緒に渡した社員証

メンバーの顔写真付きの社員証。「ほぉ~凝ってるねぇ」もそうなんですけど、メンバーの役職がSTAYという愛称がついてから2周年記念動画の役職と一致してるんです…… Stray Kids Globalさんが英訳してくださってるのを載せときます。

動画はこちら。いや、ここまでチェックしてるの!?さっきから驚いてばかりです。もうほんとにすごい。

youtu.be

さらにTwitterでは、ファンからのリプに対して返信もいくつかありました。盛り上がっていたのは、リノくんの涙袋のメイクを作ったコスメを答えていたものでしょうか。

そうだ、もうひとつ特大のがありました。マーケティングチームはみんな自腹でスキズのオンコン(Beyond LIVEのことかと思います)を見たというツイート。

これで落ちなかったSTAY、いますか?いませんね、ありがとうございました。

他にもリプ返していますが、とにかくファンが喜ぶことをしっかり心得、かつでしゃばりすぎないこの絶妙な塩梅が本当にうまい。
しかもこれらをTwitterでやるのも分かってますよね。バズを生むのはいつだってTwitterです。そしてSTAYは情報解禁日にして、CLIOの大ファンになりました。ちょっと見て回っただけでも

「CLIOしか勝たん」「CLIOの株爆上がり」「CLIOってSTAYなの!?」

こういうツイートがたくさんありました。うっかり私まで「好感度を上げるのって実は簡単なん?」って思うくらいのリアクションです。羨ましい!!うちのサービスもSNSでこんなふうにユーザーから言われたい!!!笑
実際は、これがいかに難しいか、私はよく知っています。ライターの仕事でいうと、渾身の記事をアップしてもシェアもされない、それどころか読まれもしない、ザラです。そりゃ、内容の良し悪しもあるでしょう。でもこの「ファンを獲得する」ことの下準備、コンテンツ公開のタイミング、運用方法…本当に本当に企業が苦労している部分なんです。
ああ…どうかそのノウハウ、公開してください。いやノウハウだけじゃ駄目だな…企業全体がマーケティングの重要さを知っていて、担当者が知識と経験に裏付けされた効果的な施策を打つことができて、起用したアーティストとそのファンを表面だけじゃなくてしっかり理解してリスペクトして信頼関係を築く…そういうのが全部揃って初めてマーケティングは成功するんだと思います。
アーティストの起用って(正確な費用感は分かりませんが)お金がかかるもので、かけた費用を回収できないリスクもあるわけです。でもここまで尽くして、プロモーションして、目標達成のために突き進める体制があることが心から羨ましい。

ユーザー心理は乙女心よりも複雑です。不信感を1度持たれるとなかなか元には戻りません。好感度を上げるのは非常に手間ひまがかかるのに、落ちるのは一瞬、取り戻すのはほぼ不可能という難解さです。
でもCLIOのように、1回ユーザーをこの状態にしたら、あとはよっぽど下手を打たなければマリオのスター状態でいけると思います。そして恐らくCLIOはこれでは終わらない。きっとまだまだ仕込んでます。楽しみすぎて怖くなってきました。
ちなみに自分は見れていないのですが、ツイートされていた方の情報を参考にすると、このスキズのプロモーションが始まる前は7000程度だったCLIOのTwitterのフォロワーが現在2.6万まで増えているようです。

ここまでの内容から、これらをビジネスとして、マーケティング戦略だけでCLIOがおこなったように映ってしまったかもしれません。それはもちろんあるとして、愛がなければアーティスト、ファン両方をここまで満足させることはできません。お金や打算的な利益だけに基づいた行動には、思った以上に素人である私たちも敏感です。

 

おわりに:BtoCビジネスでユーザーの心を掴む難しさ

私は今の仕事に就くまで8年弱、エンジニアとしてBtoB(企業相手の商売)をやってきたので、BtoCっていうのは本当に難しいなぁとかもどかしいなぁと感じることが多いです。
SEのときは「お金を出して開発を依頼してくれた、特定のお客さまにとにかく気に入ってもらって、機嫌をよくしてもらって、気持ちよく案件を進める」ことができればよかったんです。前時代的かもしれませんが、連絡をマメにしたり、飲みの席に付き合ったりして関係を築いて、ネゴることもありました。特定の誰かの心を掴むのは、大変さもありますがゴールが見えているのでやりやすかったんです。
しかし不特定多数の一般消費者を相手にするのは、まずターゲット設定やペルソナ設定(詳しくはググってみてくださいね)からしなければならないし、どれだけ費用や工数をかけても見返りがない場合もあります。プロモーションを打ってからサービスを売るので、ヒットしないと赤字です。もちろん、戦略を立てて取り組んでいますし、いきあたりばったりではないんですが…それでもBtoBとは違うなと感じる部分ばかりです。
だからこそCLIOのような企業のSNSマーケティングの見本のような姿を見ると「すげぇ……」となりますしとても尊敬します。

スキズがコスメのモデルに起用されて、しかもこんなに期待しかない企業のプロモーション&コンテンツがこれからどんどん公開されていくかと思うと本当に楽しみですね!

もしここまで読んでくださった方がいたらありがとうございました。不足や間違いなどありましたら、コメントかTwitter@aica_skz__)で教えてくださると嬉しいです😊

 

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2021/07/26追記:本日、CLIOからStray Kidsとのコラボレーションが終了したと読み取れるような投稿がありました。(TwitterInstagramにて)

ヒョンジンくんの件や杜撰なキャンペーン特典の発送等、スタート時からは思いもよらない出来事がたくさんありました。リプライ欄を見ると本当に当初と同じ(層という意味で)ユーザーなのか信じられないほどの反応が見て取れます。
私は2月の時点で以下のような文章を書いていました。

ユーザー心理は乙女心よりも複雑です。不信感を1度持たれるとなかなか元には戻りません。好感度を上げるのは非常に手間ひまがかかるのに、落ちるのは一瞬、取り戻すのはほぼ不可能という難解さです。

今回それをまざまざと見せつけられた形となりました。企業側とりわけ現場に近い部署にいる方々の立場に立って少し考えてみると、関連部署や上層部、そしてもちろん事務所(JYP)とのかかわりがある中、作成済のものの急遽の変更、それを補填するための多少無茶と思えるようなキャンペーンの連発など苦労されただろうなぁというのが正直な感想です。
イレギュラー対応時に本質が分かると言いますが、どうしたら正解だったのかは結構難しい問題なんじゃないかなと思います。どういうやり方をしたら一番損害を最小限に押さえられるか、採用試験でグループディスカッションやグループワークのテーマにするとおもしろいかも……(ってこんなこと言うと怒られるか。。)

思うところはありつつ素敵な写真や動画をたくさん見せてくださったCLIOと、スキズには感謝の気持ちを述べてこの記事はここまでとします。