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【雑記】LDHのCDOの講演を聞く機会を得られたので感想など

今日はちょっと毛色の違う(?)話をします。7/18(木)に日経BPが主催する「カスタマーエクスペリエンスフォーラム2019」に行ってきました。

project.nikkeibp.co.jp

お目当てはもちろん…LDH JAPANCDO、長瀬次英さんの基調講演です。

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お話の中で特にLDHの話題が出たわけではないのですが(前職、前々職での事例が主でした)「LDHでもこういう考え方や戦略でやってるのかなぁ」ということを思いながら聞いていたので、勝手な主観を交えながら感想を書き残しておきます。
※配布資料などはなく、自分のメモと記憶のみなので正しくない情報もあるかもしれません。自分の職種がCXに直接関係あったり、勉強しているわけではないのでそこをご理解いただいたうえで読んでいただければと思います。

 

LDH JAPAN CDO 長瀬次英さんとは?

agenda-note.com

上の記事、LDHファンの方は読むとめっちゃ面白いと思います。

さて、界隈では著名な方で自分がここで説明するのもあれなんですが…

ロレアルでCDO(Chief Digital Officer)、FacebookInstagram日本事業責任者などを歴任してきた長瀬次英氏

長瀬さんはCDOという役職を日本で一番初めに名乗った方と言われています。
ところでCEO(最高経営責任者)とかCTO(最高技術責任者)とかはよく聞きますが…CDOってあんまり馴染みがないですよね。上記の記事からの引用になりますが説明を載せておきます。(LDHでのCDOとしての役割は?という質問の答えです。)

その最も重要な役割は、顧客である「ファンの理解」です。LDHは、50万人以上のコアなファンがいて、100万人は優に越える会員も抱えていて、多くのデータを保有しています。さらにSNS上でも多くのファンを抱えています。

私の役割は、これらのデータを洗い出し、統合したり、分析したりしていくことでLDHを「ファンを知ったビジネス」に転換していくことです。

LDHが提供するエンターテイメント(ライブだけに限らず)を享受している身からすると「なるほど~ 」と思います。
この記事は2018/09/25に出たものですが、Jr.EXILE世代のインスタ個人アカウント開設や所属アーティストのWeiboアカウント開設なども、戦略のひとつなんでしょうね。特にファンの年齢層が若いグループのSNS戦略はとても重要だと思いますし。
BOTがやたら写真を撮ってTwitterに投稿せよみたいなTwitter連携企画が多かったのもこのあたりと関係しているのかも?(EXILEとか三代目で直近でそういうのはあまり記憶にないので)

 

すべては「現場」で起きている

某踊る映画のセリフではなく…笑 講演ではとにかく長瀬さんが大切にしているのは「現場」なんだなというのが一番伝わってきた40分間でした。
CX(というかマーケティング)について考えるとき、普通は顧客の行動データからペルソナを作って、カスタマージャーニーマップを作って、それに基づいた購買導線を敷きます。広告をどこに・いつ打ち出すかとかもそこから考えたりします。
ちなみにカスタマージャーニーマップとは、ユーザーが物を買うとき(サービスを利用するとき)どのような意思決定をしたのか?何を考えてそれを買う(使う)に至ったのか?という行動や感情の変化を時系列に沿って把握するために作成するものです。
このあたりをガチで説明しだすと途方も無いので(そして正しくうまく説明できる気がしないw)よかったらググってみてください。笑

で、カスタマージャーニーって上にも書きましたが「ユーザーが過去にどんな行動をしたか」に基づいて作るものなんですよね。これって言い方を変えると「今この瞬間ユーザーが何を考えているか」「買った瞬間の感情はどんなだったか」っていうのを含めることはできないんです。
講演で例に挙げてたのが、ドラッグストアと専門店となんか複数店舗が近隣にあってどこでも同じ化粧品を買えるのに、あなたはなぜその店で買ったのか?っていうのを聞いてみると「レジが空いてたから」とか「雨で傘をしまったときに手が濡れていたから自動ドアの店を選んだ」とかそんな理由だったりするんですって。
ここからただの素人の憶測も交えた話になっちゃいますが…それって多分顧客の購買データからは読み取れなくて、結局「朝テレビCMで見て、そのあと通勤の電車で同じ商品の広告を見せたら、帰りにドラッグストアに寄って買いたくなるだろう」みたいな予測になって「じゃあ化粧水のメインターゲットである30代のOLが朝ごはんを食べながら見る番組にCMを流して、通勤電車の女性専用車両に広告を出そう」っていう戦略になっちゃうんだと思います。
印象的だったのが「広告の効果はデータとして収集できるが、実際、ユーザーひとりひとりの動悸は千差万別でカスタマージャーニーには表せない」とおっしゃってたこと。だって、マーケティング否定になっちゃうから。。笑 ユーザーが多種多様っていうのは頭では分かってても、大きくメインターゲットとサブターゲットあたりを置いて、その人たちがどうやったら買うか?っていう可能性の最大値を決めていくものだと思うので…個々人にフォーカスって無理じゃん!現実的じゃないじゃん!ってなるのが多分普通。
特に「物」の場合は、生産工程があるのでマスに合わせた戦略を取らないと厳しい。……でもLDHが提供してるものは「物」だけではないので、「ライブ」はまさに「現場」だし、長瀬さんの領域である「デジタル」も同じく「ユーザーのその瞬間」にアプローチできるもので。だからこそ「現場」「リアル」「感情」を大事にする長瀬さんがとっても適任(言い方が上からっぽくてすみません…)だったんだろうなと思いました。

あと「買わせるまでに労力やお金をかけるより、買おうとしている瞬間のお客さんにフォーカスしたほうがいい」ともおっしゃってました。
「よくCXの話では『最近はユーザーとのタッチポイントが多様化した』って言われることもあるけど、それはちょっと違うのでは?と思う」と長瀬さんはおっしゃってて、検索も検討も購入も感想の共有も全部“スマホ”で完結しているじゃないかと。多様化どこからスマホ(≒モバイル端末)ほぼ一択になっていて、ユーザーはいつでもどこでも情報にアクセスできる状態にあるというのが今の時代の特徴なんです。
だから、「これ買おっかな」って思ったユーザーが「やっぱスマホで口コミ見てからにしよう」って思う余地(迷う余地)を与えてしまうと、「買う」って行動に結びつかなくなってしまう可能性があると。それをさせないために「現場に行ったユーザーに必要な情報は全部与えて(=検索させない)、体験を最大化させることが大切」とおっしゃってました。
これって大衆に広く受ける一般的なマーケティングじゃダメで、パーソナライズした情報を提供しないと成功しないので、「デジタル戦略はマスからパーソナルへ」と表現されてました。(全然うまいたとえではないですけど、今の私に「30代女性からの熱烈な支持のあるLDHのアーティストは三代目だからこの人には三代目の新曲情報を送っておこう」ってされてもそこまで効果はなくて「この人は最近インスタもモバイルサイトもRMPGばっかり追いかけてるな…じゃあRMPGの新曲情報を送っておこう」ってするとすぐトラステで注文する、みたいな。笑)

これは別に講演で出た話ではないんですが…今やってる「居酒屋えぐざいる」とかライブ後のバクステ招待とか、これまさに現場主義ですよね。特に居酒屋なんてゲリラ的にアーティストが来るんですよ?そんなの他である?笑 地方の方にとっては辛い部分もあると思いますが、インスタライブとか見て「現場いいなぁ」ってめっちゃ思わされますよね。よく言うと「ファンのリアル体験を大事にする」っていう心があるんでしょう(お金稼ぎはもちろん会社なのであるにしてもね)。

そうだ。講演の序盤に出た話ですが(ここで書くんかい)「最近はインフルエンサーと呼ばれる影響力のある人物からの“共有”が強い」っていうの、ほんとそうだなと思って。
ちょっとずれてるかもしれませんが、アーティスト本人(が発信している/発信しているように見える)インスタやTwitterって想像以上にファン心理に影響してるし、訴えかけてるし、何ならそれで購買意欲が左右されるって言ってもいいレベルまで来てますよね。
やっぱり本人たちから「新曲7/31発売です!MVたくさん見て、CDも買って、僕たちと夏の思い出作りましょう」って投稿されたら「買わないと」ってなるじゃないですか。笑 「モバイルブログにここには載せてない写真もアップしました!」って書かれたら月額払っても見たくなるじゃないですか。笑 うまいですよね~これって会社がある程度は指導してるんでしょうか。特に若い世代へは。

なんか思ったよりダラダラと長くなってしまった。。今後…というよりもう今まさにかもしれませんが、デジタル施策としては、人間関係を構築するツール(≒SNS)が重要ということなので、そのあたりも意識しながら今後LDHがどういう施策を打ち出してくるか楽しみにしたいと思います!

 

2019/12/29追記:この話と直接関係あるわけではないのですが、LDHのグッズ戦略についての記事が出ていて、その感想をツイートしたら日経BPさんにRTしてもらったのでほんとにセミナーお願いします。笑