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【雑記】アーティストの生き方に正解はない:LDH所属アーティストが見据える未来・パラレルキャリア

先日情報アカウントからこの記事が流れてきて、思わず目を留めた。

news.line.me

私はハイローからLDHを知ってまだせいぜい3年経つか経たないかのにわかファンなので、昔のことは分からないのだが…最初に好きになった三代目JSB山下健二郎さんは、私がファンになったときすでにパフォーマーを引退(LDHでは“勇退”という表現をするようだが)したあとのことについて語っている人だった。多分この記事以外にもあったと思う。

www.tokyoheadline.com

上記記事(2017.12.10公開)から少し引用させていただくと…。

それと、これは僕自身のことになるんですけど、パフォーマーとしてのこれからを考えていくと、いずれ思い通りのパフォーマンスが出せなくなるのが現実だと思います。もう32、2018年には33になりますしタイムリミットはリアルに迫ってきている。その時が来たときのために、自分に残されている何かを作っておくことが今の課題であり夢です。

私はそれまでジャニーズや声優さんを追いかけているオタクだったので、今まさに現役でライブツアーを回りダンスパフォーマンスをしている人がこういうことをインタビューで話すのはかなり衝撃的だった。「タイムリミット」という言葉が悲しくて、読んですぐは受け止められなかった覚えがある。
ただ、このときは「その時が来たときのために、自分に残されている何かを作っておく」と語っていた健二郎さんが今、釣りやDIYで賞をとったり雑誌に出たり、YouTuberとしてチャンネルを持っていたり有言実行しているのは素敵だなと思う。横アリで2回も単独イベント(ゲストさんはたくさんいるが)を成功させているのも健二郎さんが未来を見据えて自分の好きなことを仕事にできるよう頑張ってきたからこそだろう。

実は登坂くんも雑誌で引退について(将来的な話として)言及している。

kuraxkura.hatenablog.com

私は登坂くんの演技も好きなのだが、ご本人は将来はプロデュース側に回りたいと考えているようだ。ボーカルは作詞作曲をするメンバーも多いので、そういったセカンドキャリアを考えている人もいるかもしれない。

話をパフォーマーの引退に戻す。EXILEからMATSUさん、USAさん、MAKIDAIさんが勇退したのはそれぞれ40歳、38歳、38歳のときだった。HIROさんは43歳のときだったそうだが、なんとなくパフォーマーには“40歳”という壁がある気がする。
啓司さんとケンチさんが現在40歳、EXILE THE SECONDは今年が最後のツアーになるのではと言われている。PERFECT YEARということもあり、EXILEから年上のパフォーマーが抜けて、新たにメンバーを補充するのではという噂を聞くこともある。

特にパフォーマーは演技に挑戦することが多い。芸能界での第二のキャリアとしては一番妥当な気はする。ファンとしてもテレビで姿を見られるし、舞台に出てくれるのであればライブで見れなくなる寂しさが少し紛らわされる気もする。ただ、がんちゃんや大樹くんのように現役時代から映画やドラマにたくさん出て種まきができる人ばかりではない。がんちゃんが役者をやることについてモバイルブログなどで語るのを見るに、「必要とされることは当たり前ではない」と言っているように私は感じている。
演技の上手い下手はもちろんあるだろうが、演技派の若手俳優さん・ベテラン俳優さんがたくさんいる中で「呼ばれる役者」にアーティストである彼らがなるのはきっと想像以上に大変に違いない。
Jr.EXILEメンバーはLDHの内輪の映像作品にはよく出ているが、外向けの作品に出る機会はまだ少ない。慎くんがYouTubeドラマ『主人公』に出演して感じたのは、外部作品に出ることは想像以上に成長機会になるということだった。(上からな言い方に感じたらすみません…)慎くんは明らかにあの作品を通して役者として一段ステップアップしたと思うし、実際貴族誕生と貴族降臨での彼の演技は、プリレジェのときとはまったく異なっていた。
慎くんがすごいのは、21歳という若さで、パフォーマーとしてまだまだたっぷり時間が残されているというのにインタビュー記事でこのように答えていることだ。

「THE RAMPAGEに入る前から、EXPG(スクール)で演技レッスンを受けていましたが、当時はあまり乗り気ではなく、いつか役に立てばいいなくらいの思いでした。
でもTHE RAMPAGEに入ってから、パフォーマーは体がメインの仕事なので、けがをすることもあるし、15年後、20年後にいつか踊れなくなる日が来るな、と考えるようになって。そのとき踊り以外に武器にしたいと思ったのが芝居だったんです」と語る。

natalie.mu

これはなかなか私たち一般人には考えられないことだと思う。私で言うとデスクワークで、将来のキャリアに不安はあれど、身体的なリミットというのはほぼ存在しない。(もちろん集中力がいる仕事ではあるので80歳とかまでは続けられないかもしれないが…)会社員から会社員への転職も条件を高くしすぎなければ難しいこともない。芸能人、アーティストという生き方は、同じ人間でありながらまったく違った世界であるとLDHを知ってからより強く思うようになった。
そして、私は啓司さんの演技も結構好きで、『わたし旦那をシェアしてた』(通称『旦シェア』)ではサイコパスな役柄をかなりいい感じに演じていたのが記憶に新しい。

最初に紹介した記事では、役者以外の道を切り開いているアーティストにフォーカスしている。LDHはご存知の通り、芸能事務所だけではなく、飲食やウェディング、ファッション、そして映画などさまざまな事業を展開していて、アーティストが自分の得意分野を生かしてそれらの事業と関わっている。

LDHファンおなじみの「AMAZING COFFEE」(通称「アメコ」)を立ち上げたTETSUYAさんは、LDH kitchenの取締役でもある。アパレルブランド「STUDIO SEVEN」を立ち上げたNAOTOさんは、LDH apparelの取締役でもある。NAOTOさんはEXILEと三代目、そしてHONEST BOYZを兼任、更にはドラマや映画、バラエティにも出演して「パラレルキャリア」の代表格みたいな人だと思う。ケンチさんは、日本酒に造詣が深い方で私の地元である福井(私はお酒を飲まないので分からないのだが、日本酒が結構美味しい?らしい)の酒造に訪れたりしている。中国語が堪能でLDH ASIAの取締役でもある。LDH kitchen IZAKAYA AOBADAIのプロデュースもしている。そして舞台『魍魎の匣』で見みせたように演技もできる人なので、これまた「パラレルキャリア」の模範解答のような人だと思う。
もちろんここに取り上げたお三方以外にもアーティスト(パフォーマー)以外の道を切り開いている方はたくさんいる。もしかしたら株や不動産で利益を出しているなんて人も表に出ないだけでいるかもしれない。
みんな何かしら将来を見据えて道を開拓するというのがLDHのアーティストには根付いていて、会社もそれを推奨する(後押し、手助けもする)というのは個人的には非常によいと思う。その人の人生を思うからこそだ。

どの分野でも本業以外がその領域に踏み込んでくるのを良しとしない人はいる。たとえば、アーティストがお芝居に挑戦することを嫌う人がいるように。
私は声オタ時代、俳優さんが声優に挑戦するのが苦手だったのでその気持ちは分かるし、否定する気もない。本業一本でやっている人がいる業界へ手を広げてくる者の存在を手放しで喜べる人ばかりではないというのは当たり前のことだ。
しかし同時にこうも思う。アーティストも私たちと同じく、自分の長い人生を生きなければならない。ダンスが思うように踊れなくなったとき死ぬのではない。自分の得意なことを伸ばし、趣味を仕事につなげ、アーティストとしてのキャリアが終わっても生きるために次のキャリアを自らの手で築いていく必要がある。華々しい世界に見える一方、現実にはやはり会社員とは違うシビアさがある。

実は「自分の市場価値を上げる」というのは、普通の会社員が転職する場合でも大切だと言われていることだ。業種・職種にもよるとはいえ今は売り手市場だが、「誰でも簡単に良い条件で転職できる」ことを意味しているわけではない。「スキルや経験のある需要が高い人材に企業が殺到する」というだけだ。
必要とされる人材になるためには、スキルの掛け合わせで自分の強みを確立させるのがいいとも言われる。何かの分野でトップ(いわゆるスペシャリスト)になるのは非常に難しいし才能や向き不向きも関係してくるかもしれない。けれど、“そこそこできるもの”の掛け合わせであれば努力次第でなんとかなる。もしくは趣味と仕事を融合させてインプットもアウトプットもまったく苦にならないような状況を作り出すというのも強みになるだろう。
私はLDHのアーティストがセカンドキャリアと言わず、第三・第四のキャリアを持つ「パラレルキャリア」に挑む姿は、自分が会社員として生きる上で大切なことを考えるきっかけにもなったと感じている。今回はパフォーマーについて話してきたが、ボーカルももしかしたらリミットがある可能性もある。いつか推しがアーティスト人生を終えたとき、次の人生を楽しくまっとうしていたら嬉しいと思う。

 

2020/02/22:追記

大切なことを2つほど書きそびれていた。笑 パフォーマーが演技やそれ以外の分野でのキャリアを築くことを書いたが、ELLYはパフォーマーがマイクを持つ道を切り開いてくれた。ELLYのインタビューを読むと、最初それがどれほど困難な道のりだったかが伺える。(記事執筆時はインタビュー記事へリンクをしていたのですが、削除されたためリンクも削除しました)

インタビューを読んで、ELLYは私が思っている以上にいい意味でしたたかな人だということが分かった。「上に可愛がられる」というのはあまりみんな言いたがらないが、会社員でも大切な処世術のひとつだ。上だけではない、人間関係を良好に保つことは結果的に自分が働きやすくなったり好きなことをできたりする近道になる。
そしてELLYがすごいのは情熱を伝える、諦めない、人がやったことないことを実現するには「なぜNGなのか」「代替手段(たとえば、お金や工数がかからないやり方で)を取れないか」をとことん突き詰めて達成してしまうところにある。
多くの人はここまでなかなかできない。私ももちろんそうだ。持ち前の明るさもありインタビューではさらっとしているように見えるが、この泥臭さはなかなか大変だし真似できるものではない。
でもELLYがパフォーマーがマイクを持つことをLDH内で“アリ”にしてくれたから、後輩たちもそれができる。もちろん後輩たちの努力や情熱もあるとは思うが、先駆者がELLYじゃなければ、叶えていなければ、おそらくMA55IVE(ランペのパフォーマー5人のラップグループ)も楽曲配信までたどり着くのは相当難しかったはずだ。
パフォーマーがマイクを持って何曲か歌える時間をもらえる。これはLDHでは昔はきっと考えられなかったことだ。この場合はセカンドキャリアというよりは、両輪と考えたほうがいいのかもしれない。ダンス+ラップ、ダンス+DJなど複数のスキルをかけ合わせて見せることで自身の表現の幅が広がる。これは上で語ったスキルの掛け合わせの話につながる。すべては「自分の市場価値を高める」ことで、厳しい世界の中で生き残るということにつながっていく。

そして、もうひとつ書き忘れていたこと。それは「ボーカルであれば歌、パフォーマーであればダンスをやりたくてプロのアーティストになったのだから、“他の何か”がない者はどうしたらいいのか?」ということだ。
これは特定のメンバーのことを思い浮かべて言っているのではない。パラレルキャリアを持つためには前述したTETSUYAさんやNAOTOさん、ケンチさんのように趣味であったり情熱を傾けられるものだったりを突き詰めて仕事と結びつけていくのが一番よいように思える。がんちゃんや大樹くんのように演技仕事が来て、それにやりがいを見いだせる人はそっちに舵を切るのもいいだろう。
しかしそういったものがない場合、どうすればいいのだろうか…?というのも少し気になっている。そういう人にとってはセカンドキャリアを見据えてパフォーマー人生を全うしろというのはやはり残酷なのかもしれない。
別の記事でも書いたが夢を追いかける若者がいる一方、「やりたいことがない」「将来の夢がない」という若い人は少なくはない。(私は転職サイトを運営している会社にいるため新卒学生の声を聞くこともあるし、前職ではリクルーターもやっていたので学生と接する機会もあった)その中で夢を叶えたというのにもう1つ、2つプラスアルファでなにかを突き詰めろというのは、結構大変な気がしてくる。
これには答えがないのだが、私の場合は趣味を全力で楽しむために仕事をしているようなものなので一般人はそういった仕事選びをしてもいいかもしれない。そのへんの話はこちらの記事に書いているので興味がある方は見てみてほしい。